2013 Fiscal Year Research-status Report
医薬品の適応拡大に向けた研究:複数の疾患に使用することのできる医薬品の特徴解析
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24700300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 瑞樹 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 研究員 (00519316)
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Keywords | 治療薬 / 適応拡大 |
Research Abstract |
本申請課題の目的は,適応拡大が可能となる医薬品と疾患の組み合わせを発見するための一般的な知見を見出すことである。このために,既存の医薬品のうち複数の疾患に使用することができるものを分析し,同一の医薬品を使用することができる疾患間の類似度の分布,同一の医薬品を使用することができる疾患群の組み合わせの特徴と傾向,類似度の低い疾患同士でも使用できる医薬品の特徴と傾向,それらの疾患の特徴と傾向,のそれぞれを明らかにする。 平成25年度には,医薬品および疾患のそれぞれの階層分類データのRDF化,医薬品と疾患の階層分類データの統合,医薬品や疾患の階層分類を利用した類似度の計算ソフトウェアの開発,心不全治療薬における医薬品-疾患のネットワーク解析を行った。また,昨年度に開発した文章の記述に基づいた疾患の類似度の計算をするためのソフトウェアの改良を行った。 心不全治療薬は化合物としては45剤,それらが適応できる疾患は285疾患であった。治療薬あたりの適応疾患の数および疾患あたりの治療薬の数は,いずれもべき分布に従っていた。適応症が多い薬剤(多適応薬)と少ない薬剤(少適応薬)の比較からは,生体内ターゲットに差異は見られなかったものの,薬剤の種類として多適応薬には降圧薬の割合が高く少適応薬には利尿薬の割合が高いこと,作用機序として多適応薬には拮抗薬の割合が高く少適応薬には作動薬の割合が高いこと,などが示唆された。 今後,心不全治療薬の適応疾患についてその性質や作用機序などとの関連を解析することで,心不全治療薬の適応拡大についての詳細な知見が得られるものと期待される。また,この解析をすべての治療薬に広げることで,一般化された知見が得られるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を次のように変更した。当初の予定では,今年度に全治療薬のデータベース化を実施する予定であった。しかし,解析を念頭に置いてデータベース化を進めることが望ましいと考え,今年度は心不全治療薬に特化した解析を一通り行った。ここで得られた知見を元に,次年度に全治療薬のデータベース化および解析を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には,心不全治療薬についての生体内パスウェイを用いた詳細な解析,解析の対象を国内で承認されている全ての医薬品に広げた解析のそれぞれを行う。また,医薬品および疾患の類似度を利用して多適応薬と少適応薬の性質を考察する。同時に,生体内のパスウェイを利用し,作用機序についてより詳細な解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度の途中で所属が変わった際に予算を執行できない期間が3ヶ月ほどあり,そのためその期間に執行する予定だった分の人件費が残った。 当初の予定になかった余剰分については,研究用データの作成のための人件費として使用する。
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Research Products
(10 results)