2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700301
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 佳二 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (60520096)
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Keywords | 情報幾何学 / セミパラメトリック推定 / ノイズ相関 / 時系列解析 |
Research Abstract |
神経科学において、複数の神経細胞から同時に電気活動が記録できる実験を行った場合に、細胞の応答特性と合わせて、細胞同士が繋がっているかを特定できることは重要である。その目的のためには、神経細胞の活動の相関を見ることが有効とされて、広く電気生理実験において用いられてきている。しかしながら、従来の相関係数を用いた推定方法だと、神経細胞の活動が非定常なトレンドを持ってドリフトしているような場合には、神経細胞間の繋がりを反映したものではなく、ベースラインのトレンドの時間発展の形のみを反映した誤った相関の値を推定してしまう。そこで、本研究においては、無限次元の情報幾何学を用いたセミパラメトリック推定を行うことで、ベースラインの活動がどのようなドリフトをする場合でも、ドリフトの影響は一切受けず、細胞間の活動の(ゆらぎの)相関を正しく推定する方法を開発した。またさらに、この推定方法がシミュレーションにより生成した時系列に対してうまくいくことを実証した。この成果は、以下の論文として出版された: Keiji Miura, “A Semiparametric Covariance Estimator Immune to Arbitrary Signal Drift” Interdisciplinary Information Sciences, Vol. 19 (2013) , No. 1, pp. 35-41.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報幾何学を利用したデータ解析手法を開発し、本年度出版された。 現在進行中の研究では、脳の触覚のモデルを提案し(投稿中)、当初の予定通り、現代幾何学を応用して、データ解析手法を開発するだけではなく、脳のモデルを提案するというスタイルの研究も行い始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、データ解析手法の理論的な開発のみに終わらせることなく、視覚野などから計測された神経活動の実データに対して応用する予定である。メソッド論文などの形で、実データ解析の例も見せて、ユーザーフレンドリーな形で提案手法を紹介することも目標としたい。 予期せず研究が進展した部分としては、情報幾何学の理論の範疇にとどまらず、より一般的な現代幾何学の分野まで手法を広げて、研究を進められるようになってきた点である。現代幾何学を応用した革新的な脳理論として、まずは触覚のモデルを構築することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。 繰り越した額は、国際学会発表(SIAM)のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)