2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700302
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塚田 祐基 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80580000)
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Keywords | 行動 / 神経 |
Research Abstract |
本研究では動物の探索行動に注目し、それを制御する神経回路における情報処理機構の解明を目標とした。神経回路の接続地図が完全に明らかになっている線虫C. elegansをモデルとし、温度に依存した探索行動(温度走性)についての定量的な実験データを数理解析することで、神経活動の動態を数理モデルで記述し、神経活動と行動制御の関係を明らかにした。 研究代表者らが開発した自由行動中の個体を追尾/カルシウムイメージングを行うシステムを用い、温度勾配上を探索する線虫のデータを取得した。これにより温度走性中の線虫が感じる温度変化、温度受容神経細胞AFDの活動、そして行動軌跡を同時に記録することが可能になり、それらを定量的に評価できるようになった。 AFD神経細胞は緩やか(0.1度/分)かつ滑らかな温度上昇に対して、スパイク状の離散的な応答反応を示すことが分かった。えさ条件、飼育温度条件を変えて実験を行った結果、AFDの温度に対する応答は飼育温度によって変化するが、えさ条件を変えても変化しないことが示された。つまり、温度受容神経細胞AFD自体は飼育温度依存的に応答特性が変化するが、AFDの活動と行動の関係はえさ条件により変化することが示唆された。また、AFD神経細胞のシグナルはそのまま行動へと反映されるわけではなく、方向転換頻度の制御という形へ情報が変換されることが示唆された。さらに、AFDの動的な応答特性を評価するために、温度入力に対する神経活動を応答関数として推定した。推定された応答関数は微分検知器の性質を示し、個体差や条件の差がほぼないことが示された。さらに、推定された応答関数と実際に計った温度の時系列を使ってAFD神経細胞の活動を再構築すると、実際のAFD神経細胞の活動時系列とよく合う事が示された。
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Research Products
(6 results)