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2012 Fiscal Year Research-status Report

ニューロンの性差形成を制御する遺伝的プログラムと細胞間相互作用

Research Project

Project/Area Number 24700309
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

佐藤 耕世  東北大学, 生命科学研究科, 助教(研究特任) (40451611)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords性差 / 脳 / 神経 / 遺伝子 / ショウジョウバエ / 発生 / 行動 / RNA
Research Abstract

ショウジョウバエの脳神経系に性差を構築する仕組みを分子および細胞レベルで解明するために本研究を行った。ニューロンを雄化する転写因子Fruitless(Fru)に着目し、Fruが転写共役因子Bonusを介して2種類のクロマチン制御タンパク質HDAC1およびHP1aと拮抗的に複合体を形成すること、BonusがHDAC1をリクルートした場合にはニューロンの雄化を誘導し、BonusがHP1aをリクルートした場合には雄化を阻害することを解明した。Fruが複合体を形成するもう一つの因子としてFruと同じくBTB-Zn-finger型の転写因子ファミリーに属するLongitudinals lacking (Lola)を特定した。Lolaの特定のアイソフォームをノックダウンするRNAiをfruを発現する性的二型ニューロンの一つmALに発現させたところ、雄のニューロンの特徴が雌へ部分的に性転換した。一方、同じRNAiを雌のmALニューロンに発現させたところ、予想に反して投射様式が雌型から雄型に部分的に性転換した。lolaは雄でも雌でも機能しており、雄では雄特有の神経突起を形成するように促すのに対し、雌ではこの突起の形成を阻害することが示唆された。上記の実験に用いたRNAiは、lola遺伝子の29番目のエクソンに由来するmRNA配列を標的とすることから、このエクソンに由来するアイソフォームがニューロンの雄化、あるいは雌化に関与するものと考えられる。このエクソンから産生されるアイソフォームは、変態直前(3齢幼虫後期)の脳神経系において雌雄で異なるパターンで発現することを示唆する結果を得た。この時期の雌雄間でのアイソフォームの違いがニューロンの性差を生み出す可能性がある。この発生段階のfru発現細胞は性差形成の初期段階にあると思われることから、Lolaは初期の運命決定に関与する可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

脳神経系を雄化する遺伝子fruと相互作用する遺伝子を探索する過程で、fruと協調して雄化を促す遺伝子だけでなく、偶然にも雌化を促す遺伝子をも特定することができた。これを手がかりとして、今後は脳神経系を雄化する仕組みだけでなく、雌化に関与する遺伝的なフレームワークを解明できる可能性がある。

Strategy for Future Research Activity

3齢幼虫後期の脳神経系において雌雄間でのLolaアイソフォームの違いがどのような仕組みでニューロンの性差を構築するのかを解明する。性特異的に発現するアイソフォームをクローニングし、この発生段階特異的な機能阻害実験や強制発現実験を行い、この時期のlolaが細胞の性運命を決める可能性を検討する。この発生段階のFru発現細胞の状態を種々の幹細胞マーカーを用いて明らかにする。また、Fru及びLolaの制御下でニューロンの投射様式や細胞数に性差をもたらす「実働部隊」となる因子も解明する。ショウジョウバエの細胞死促進遺伝子として知られるhid、grim、reaperがFruとLolaによって負に制御される可能性が考えられるので、Fru及びLolaの異所発現や機能阻害によってこれらの標的候補遺伝子の発現が負に制御されるかを検討する。投射パターンの制御にかかわる因子も解明する。mALニューロンでは、雄特有の神経突起の形成をWinglessの受容体であるFrizzled1が促し、逆に軸策ガイダンス分子Slitの受容体Robo1がこの突起の形成を雌で抑制することを示唆する結果が得られているので、これらの遺伝子がFru及びLolaの標的であるかを検討する。fruを発現するニューロンのうち細胞数に性差があるのは9種類、投射パターンに性差があることが分かっているのは10種類ある。単一の転写因子がどのような仕組みによって複数のニューロンを雄化し、雄特異的な突起を発達させるのか分かっていないので、この仕組みにlolaがどのように関与するのかを検討する。その仕組みとして、Lolaは後胚発生期の脳神経系において多数のアイソフォームを産生することから、Fruが発生のコンテクスト依存的に異なるLolaアイソフォームと複合体を形成することによってニューロンの性分化を多面的に制御する可能性を検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

3齢幼虫後期のFru発現細胞の状態を種々の幹細胞マーカー及び分化マーカーの発現を元に検討する。そのための抗体を購入する。また、Lolaの特定のアイソフォームをノックダウンするRNAiを特定のfru発現ニューロンにおいて発現させるためのショウジョウバエ系統を作製する費用、およびアイソフォーム特異的なanti-Lola抗体を作製するための費用が必要である。Fru及びLolaの制御下で脳神経系の性差構築に関与する遺伝子の機能を解明するため、特定の遺伝子をノックダウンの標的とするRNAi系統の購入が必要である。その他、免疫組織化学染色や分子生物学実験に用いる実験器具や試薬類を購入する費用が必要である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Sex-switching of the Drosophila brain by two antagonistic chromatin factors.2013

    • Author(s)
      Ito H, Sato K, Yamamoto D.
    • Journal Title

      Fly (Austin)

      Volume: 7 Pages: 印刷中

    • DOI

      10.1016/j.cell.2012.04.025

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Fruitless recruits two antagonistic chromatin factors to establish single-neuron sexual dimorphism.2012

    • Author(s)
      Ito H., Sato K., Koganezawa M., Ote M., Matsumoto K., Hama C., Yamamoto D.
    • Journal Title

      Cell

      Volume: 149 Pages: 1327-1338

    • DOI

      10.1016/j.cell.2012.04.025

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Fruitlessは拮抗する二つのクロマチン制御因子と共同して単一ニューロンレベルの性的二型を作り出す2012

    • Author(s)
      佐藤耕世
    • Journal Title

      東北大学クロスオーバー

      Volume: 第15号 Pages: 4-5

  • [Presentation] Non-cell-autonomous mechanism generates sexually dimorphic neuronal structures in the Drosophila brain.2013

    • Author(s)
      Kato T, Sato K, Yamamoto D.
    • Organizer
      The 4th UCL-Tohoku University Symposium
    • Place of Presentation
      London, UK
    • Year and Date
      20130221-20130221
  • [Presentation] ショウジョウバエのクロマチン制御因子Zesteは変態時に起こる細胞死を組織に応じて正または負に制御する2012

    • Author(s)
      後藤貴章、佐藤耕世、伊藤弘樹、山元大輔
    • Organizer
      第35回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場、福岡
    • Year and Date
      20121211-20121214
  • [Remarks] Kosei Sato Web Page

    • URL

      https://sites.google.com/site/koseisato777/top-page

URL: 

Published: 2014-07-24  

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