2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉林 伸博 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40581658)
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Keywords | Nfil3 / 神経変性 / 筋萎縮性側索硬化症(ALS) |
Research Abstract |
認知・記憶・運動系の制御などの高次脳機能は、中枢神経系の神経細胞によって担われている。したがって、生涯にわたって神経細胞が健全に維持されることは、高次脳機能の維持に必要不可欠である。神経細胞は基本的には自己複製しないため、神経細胞が機能的・構造的に維持されるには、自己を守るための強固な保護システムが必要である。申請者らは、転写因子Nfil3が神経細胞を保護する役割を担い、Nfil3の発現が神経変性を抑制することを見出した。本研究では、Nfil3シグナリングの解析を通じて、Nfil3を基点とした神経保護システムの全容に迫ることを目的とする。本年度は、Nfil3の下流候補と考えられるPer2の解析を実施した。これまでに申請者らは、培養神経細胞を神経毒で刺激した際に、Per2の発現レベルが下がることを見出している。そこで、Per2の発現量を変化させた培養神経細胞において、神経毒に対する耐性を解析した。すると、Per2の発現量を低下させた神経細胞は神経毒に曝露した際の耐性が上昇していることを見出した。このことは、神経毒に対する神経保護システムにおいて、Per2の発現低下が重要な役割を果たしているという可能性を支持するものである。さらに、神経保護システムにおけるNfil3-Per2のシグナリングの生理的意義を解析するため、Per2ノックアウトマウスとPer2のトランスジェニックマウスを入手した。今後、これらマウスとALSモデルマウスを交配させて二重変異マウスを作製し、神経変性疾患の発症時期や進行度への影響を精査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nfil3の下流候補であるPer2においては、その発現量の低下により、培養神経細胞の細胞毒刺激に対する耐性が上昇することを明らかにした。これは、Per2の発現制御が神経保護システムに重要な役割を果たす可能性を示すものである。さらに、Per2ノックアウトマウスとPer2のトランスジェニックマウスを入手し、ALSモデルマウスとの交配を開始している。これらから、概ね当初の計画通りに研究が進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
先の欄で述べたように、現在までの研究進捗状況は概ね順調である。そのため、今後も当初の研究計画に基づいて研究を推し進めていく。
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Research Products
(5 results)