2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野住 素広 新潟大学, 医歯学系, 講師 (00420323)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経科学 |
Research Abstract |
極長鎖脂肪酸伸長酵素Tecr を標的とするターゲティングベクターの構築からキメラマウス作製を行った。TLCN-Cre マウスとTecr-flox マウスの交配でTecr ノックアウトマウスを作出したところ、ヘテロ接合型は正常に成長するが、ホモ接合型は胎生致死であった。現在、どの発生段階に異常があるかを調べている。Tecr は大脳皮質、海馬、小脳を中心に広く発現していることから、Tecr ノックアウトマウスの神経回路形成に異常が生じている可能性が極めて高い。Tecrノックアウトマウスを使って神経回路形成を中心とした表現型の解析を行う。成長円錐のリピドミクス解析では、ホスファチジルセリン(22:3 / 22:6)、(20:0 / 22:6)やホスファチジルイノシトール(18:0 / 20:5)が成長円錐膜にのみ含まれることを発見した。括弧内の数字は炭素数と不飽和数を表しており、22:6 はドコサヘキサエン酸、20:5 はエイコサペンタエン酸でいずれも必須脂肪酸として知られる。また抗体による免疫染色により、極長鎖脂肪酸伸長酵素は4つの酵素のうち、成長円錐にはTecr のほかにElovl6、KAR が濃縮していることを確認することができた。これらの結果から、成長円錐に特定の脂肪酸を供給する機構が存在することが示唆された。今後、Tecrノックアウトマウス用いた解析によって、神経成長における成長円錐の極長鎖脂肪酸伸長酵素の役割を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノックアウトマウスの表現型解析が予定より遅れている。一方で、新しい解析御術であるイオンコンダクタンス顕微鏡による成長円錐の画像取得が進んでおり、近いうちに高解像度での成長円錐の構造変化が観察できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
Tecrノックアウトマウスのホモ接合型がどの発生段階で致死になるのかを明らかにする。もし神経回路形成以前の段階で致死になるのであれば、ヘテロ接合型を用いた解析でin vitroでCre発現ベクターによるノックアウトの影響を調べる。また、ノックアウトマウスによる表現型解析とともに、脂質合成と密接な関係のある小胞輸送の解析も進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Tecrノックアウトマウスの表現型解析に必要な試薬、細胞培養用培地などの購入を予定している。解析の遅延によって昨年度は予定額の半分程度を繰り越したが、更なる解析の進捗に伴い、昨年度よりも多くの実験消耗品が必要となる予定である。
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Research Products
(3 results)