2013 Fiscal Year Annual Research Report
音のパターンを記憶・想起する聴覚野メカニズム:二光子顕微鏡による解析
Project/Area Number |
24700320
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
塚野 浩明 新潟大学, 脳研究所, 助教 (90624338)
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Keywords | 聴覚野 / 和音 / フラビン蛋白蛍光イメージング / 二光子イメージング / マウス / 内側膝状体 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
二光子イメージングを用いて、和音を聞いた際マウス一次聴覚野ニューロンがどのように活動するかを観察した。和音を聞くと、構成音の最大公約数の音も聞こえてくることが知られている(ピッチ:missing fundamental)。マウスに20+25 kHzの和音を聞かせると、最大公約数に相当する5 kHz領域にも神経活動が起こることはフラビン蛋白蛍光イメージングを用いた過去の実験から明らかになっている。マウス5 kHz領域にGCaMP3を発現させて単一ニューロン活動を観察した所、20+25 kHzの和音に対して5 kHzニューロンも応ずる傾向があることが判った。この事実は和音を聞くと、最大公約数に相当する周波数ニューロンも活動することで、missing fundamentalのピッチが聞こえてくることを示唆している。 聴覚野ベルト領域の一つであるUFは比較的ゆっくりした傾きのFMの方向を処理している。22週齢程度の加齢C57BL/6マウスは聴覚野UFのFMに対する応答が減弱することが判った。UFが内側膝状体背側核(MGd)から投射を受けていることは判っている。そこでUFに逆行性トレーサーを注入し、UFに投射するMGdニューロンを可視化した。その結果、22週齢の加齢マウスでは、MGdのUFへの投射ニューロン数が減少することが判った。これまで末梢性の聴覚障害が良く注目されてきたが、この事実は、中枢の病理的変化に起因する聴覚加齢性障害が起こり得ることを示唆している。
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