2012 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動の発現と制御に関わる大脳ネットワークの機能構築の多面的解析
Project/Area Number |
24700324
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二宮 太平 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (40586343)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 補足眼野 / 狂犬病ウイルス / 越シナプス的神経トレーシング / マカクザル |
Research Abstract |
大脳皮質に複数ある眼球運動関連領野のうち、補足眼野(SEF)の機能的意義を明らかにするため、狂犬病ウイルスによる逆行性越シナプス的神経トレーシング法を用いてSEFに対する多シナプス性入力様式を詳細に検討した。 越シナプス的神経トレーシングの予備実験として、計4頭のニホンザルのSEFを対象に、皮質内微小電気刺激を用いて脳地図を作製した。これらの脳地図を元に単シナプス性結合を検証する為のBDAの注入(1頭)および多シナプス性結合を検証する為の狂犬病ウイルスの注入(3頭)を行った。SEFにウイルスを注入した例のうち1頭は注入4日後(3次結合)に、残りの2頭は注入3日後(2次結合)にホルマリン灌流固定を行った。その後薄切切片を作成し、感染したニューロンを免疫組織化学的に可視化してニューロンラベルの分布を解析した。 ウイルスを注入したサンプルにおけるニューロンラベルの分布のうち特に興味深い点として、以下の2点が挙げられる:1)3日後の例で扁桃体におけるニューロンラベルが観察された、2)注入4日後の例では、眼窩前頭皮質において顕著なニューロンラベルが見られた。扁桃体は情動野中枢とも呼ばれ、特に不安や恐怖といった感情に深く関わっていると考えられている。また眼窩前頭皮質は報酬価値に関連した機能を持つことが知られている。この情報は自らの行動の成果のモニタリングを行っているとされるSEFにとって必要なものであると考えられる。これらの結果は、SEFが単純な眼球運動のコントロールに関与しているのではなく、情動や価値判断といったより高次の情報処理に関与していることを示唆する。
|