2013 Fiscal Year Research-status Report
新規視床下部神経核SGNの摂食・エネルギー代謝調節メカニズムへの関与の解明
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24700331
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森 浩子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60616895)
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Keywords | estrogen / energy metabolism / hypothalamus |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者が新たに同定した神経核、視床下部矢状核:Sagittalis Nucleus (SGN)の生体での昨日の解明である。SGNは摂食・性行動の中枢制御を行う脳領域内の位置し、女性ホルモンや摂食関連ペプチドの作用と強調し摂食パターンの調整に関与している可能性が高い。本研究の遂行によって、新規神経核SGN領域とその周辺領域における摂食関連ペプチドおよびそれらの受容体分布のマッピング(脳組織を用いた組織学的解析)を行い、新規神経核SGN領域とその周辺領域の生理機能に関する形態的基盤を築く。また、動物実験系を用いて、神経内分泌活動と摂食行動との相互作用について検証する。具体的には動物が摂取する栄養素の違いによって、摂食を制御している脳の領域がいかなる影響を受けるのか、一定期間飼育後にSGNを含む関心領域の脳組織を採取し、関連タンパク(ヒスタミン受容体、ケトン体利用酵素等)の発現量の定量解析およびmRNA発現量の定量解析を行う。これまでの申請者の研究で、SGN領域にはエストロゲン受容体α、GABAの合成酵素: GAD67, カルシウム結合タンパク:calbindinD28k、ヒスタミン受容体(H1)が発現していることを確認した。24年度には、SGNにおいて以下の摂食関連ペプチドとそれらの受容体、αMSH,コカインアンフェタミン調整転写産物、アグーチ関連タンパク、グレリン受容体、メラノコルチン4受容体の分布を免疫組織化学染色法によって確認した。なかでもSGN周辺領域におけるH1の詳細な発現分布と、エストロゲン受容体によるH1の発現調整に関する研究成果をPLOS ONEへ投稿し、受理された(印刷中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はSGN周辺領域におけるH1の詳細な発現分布と、エストロゲン受容体によるH1の発現調整に関する検証を深めることが出来、研究成果をまとめてPLOS ONEへ掲載することが出来た "Estrogenic regulation of histamine receptor subtype H1 expression in the ventromedial nucleus of the hypothalamus in female rats" Mori. et al. 2014, PLOS ONE(印刷中)。エストロゲンによるヒスタミン受容体の発現調整機構はこれまでに報告がなく、本研究によって初めて明らかにされた。本発現調整機構は、SGN周辺の脳領域で顕著に観察され、性ホルモンの変化に随伴する雌の性行動発現や摂食の中枢制御に深く関与している可能性が示唆された。現在SGNを中心とした脳領域におけるエストロゲンシグナルおよびヒスタミンシグナルと、摂食行動の関連を、生体観察および組織学的解析を用いて検証を進めている。動物実験では、動物にカロリーや栄養素の異なる特殊飼料を与えて飼育し、摂食による脳へのフィードバック作用を検証するために、特殊飼料による飼育を開始している。摂取するの栄養素の違いによって、脳がいかなる影響を受けるのか、形態的変化を捉えるために関連タンパクの発現量の定量解析およびmRNA発現量の定量解析の予備実験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、SGNを中心とした脳の摂食行動制御機構における脂質系代謝の働きに注目して研究を進めたい。申請者の平成25年度の研究発表成果により、SGN周辺の脳領域におけるエストロゲンによるヒスタミン受容体の発現調整機構が見出され、性ホルモンの変動に随伴する雌の性行動発現や摂食の中枢制御に深く関与している可能性が示唆された。今後はさらにエストロゲンによるヒスタミン受容体の発現調整機構と脳内の脂質系代謝との関連について研究を進める。動物実験では、動物にカロリーや栄養素の異なる特殊飼料を与えて飼育し、摂食による脳へのフィードバック作用を検証する。生体の栄養状態の違いによって、脳内の摂食中枢がいかなる影響を受けるのか、一定期間飼育後にSGNを含む関心領域の脳組織を採取し、関連タンパク(ヒスタミン受容体、ケトン体利用酵素等)の発現量の定量解析およびmRNA発現量の定量解析を行う。全身の脂質代謝およびエネルギー代謝の調整に深く関与しているレプチンシグナルへの影響についても同時に検証する予定である。当該動物実験計画は進行中であり、現在特殊飼料による実験動物の飼育を行っている。
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Research Products
(2 results)