2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規視床下部神経核SGNの摂食・エネルギー代謝調節メカニズムへの関与の解明
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24700331
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森 浩子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60616895)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エストロゲン / 摂食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が新たに同定した神経核, 視床下部矢状核: Sagittalis Nucleus (SGN)の生体での機能の解明である。SGNは摂食・性行動の中枢制御を行う脳領域内に位置し、女性ホルモンや摂食関連ペプチドの作用と協調し摂食パターンの調整に関与している可能性が高い。本研究では、新規神経核SGNの摂食制御・エネルギー代謝調整機構への関与の検証を行った。 平成26年度に実施した主な研究内容は、SGN領域とその周辺領域で発現することが知られている神経伝達物質の受容体の中から、エストロゲンシグナルとの関連性の見られるものの同定を試みた。神経伝達物質であるヒスタミンの受容体サブタイプ1(H1R)の分布を詳細に調べたところ、SGNおよび主要な摂食制御中枢である視床下部腹内側核および弓状核に分布していることがわかった。しかもこのH1Rの分布はエストロゲン受容体(ERα)の分布と一致しており、SGN周辺領域のエストロゲン感受性ニューロンのほとんどがヒスタミンへの感受性を有していることがわかった。特に視床下部腹内側核腹外側部ではERαとH1Rを高発現するニューロンの存在が確認でき、エストロゲン依存的な食欲調節へのヒスタミンシグナルの関与が強く示唆された。ERαとH1受容体の相互作用として、一方がもう一方の発現を調節する現象が想定できたため、卵巣を摘除したメスラットにエストロゲンを投与し、腹内側核腹外側部のH1Rに対する影響を調べたところ、投与後24時間から48時間にかけて発現量が増加することがわかった。これらの結果からヒスタミンシグナルはエストロゲンシグナルと協調して働き、摂食の中枢制御に深く関与している可能性が見いだせた。本研究結果は論文としてまとめ、PLOS ONE, (2014)vol. 9 (5), e96232として成果発表した。
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Research Products
(3 results)