2013 Fiscal Year Research-status Report
Hox変異マウスを糸口にしたトノトピー形成メカニズムの解明
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24700336
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Research Institution | Nagoya Bunri University |
Principal Investigator |
成田 裕一 名古屋文理大学, 健康生活学部, 准教授 (40360614)
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Keywords | Hox / トノトピー / 聴覚回路 |
Research Abstract |
研究代表者が開発した定量的なトノトピー解析法を用いてHoxa2/Hoxb2 cKOにおいて蝸牛神経核における内耳神経の標的エリアが相対的に大きくなっていることを明らかにすることができた。同様の解析をHoxa2またはHoxb2単独のcKOについて行い、Hoxa2/Hoxb2 cKOにおいてのみ、顕著な表現型が観察されることを確認した。 前年度からの継続で、8kHzおよび15kHzの音刺激を90分間与えたマウスの脳幹について、cFos抗体による免疫染色を行った。Hoxa2/Hoxb2 cKOマウスにおいて8kHzおよび、15kHzそれぞれに相当する周波数バンドが対照群のものと比較して有意に太くなっていることが明らかになった。また、8kHzと15kHの2つの音刺激を与えた試料に関して、対照群マウスでは2本のバンドが確認できるのに対して、Hoxa2/Hoxb2 cKOマウスでは、それらの間の境界が不明瞭になっていた。これらの結果はいずれも解剖学的な解析により明らかになった「内耳神経の蝸牛神経核への投射が不正確になっている」という表現型を支持するものであり、Hoxa2/Hoxb2 cKOマウスにおいては、機能的にも聴覚回路の形成がトノトピーの正確性という面で異常を持っていることが明らかになった。 また、内耳神経のsingle axonレベルでの解析を行うために、蛍光デキストランによる標識条件の検討を開始するとともに、Hoxの下流で聴覚回路トノトピーの正確性に関わっている因子を同定する目的で、遺伝子のスクリーニングを開始した。軸索ガイダンス因子として知られるephrinb2の発現がHoxa2/Hoxb2 cKOマウスで低下していることを示すin situ ハイブリダイゼーションのイメージが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
導入予定であった顕微鏡用蛍光装置の納入遅れにより、single axonレベルでの解析に向けての条件設定など蛍光観察が必須である研究計画において遅れが生じてしまった。 その他の計画については、概ね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
顕微鏡用蛍光装置が導入でき次第、遅れが生じているデキストランによる標識条件を確立し、single axonレベルでの解析を進めていきたいと考えている。 また、下流遺伝子として候補に上がったephrinb2の発現量の変化は軽微なものであったため、real timePCRにより、発現量の詳細な解析により確認する計画である。また、研究協力者からephrinb2変異マウスの試料も入手できることになったため、この変異マウスについても定量的なトノトピー解析法により、トノトピー構造に異常が生じているかどうかを解析する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
仲介業者の担当者変更およびそれに伴う連絡不備によって、導入予定であった顕微鏡用蛍光装置および撮影用カメラ一式を今年度中に購入することが不可能になった。さらに、それにより、蛍光観察が必須である研究計画に遅れが生じてしまったため。 早期に蛍光装置を導入できるように、再度業者と打ち合わせを行った。できるだけ早期に設備を導入し、蛍光観察が必要なsingle axonレベルでの解析や免疫染色による解析を進めていく計画である。
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