2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700340
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂口 昌徳 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (60407088)
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Keywords | 記憶 / 情報 / 転送 / PTSD |
Research Abstract |
本研究は、脳内で記憶情報が転送されている直接的な証拠を示す点に有る。 本研究を達成するためには以下の3つの要素技術が必要である。1.特定の記憶を貯蔵している神経回路に選択的に目的遺伝子の発現を誘導する技術。2.その神経回路が投射する他の脳内部位の神経回路を遺伝学的に追跡する技術。3.その投射先の神経回路を操作する技術である。1を達成するために、当初CREB遺伝子の強制発現を使う方法を模索したが、様々な条件検討の結果、海馬において記憶貯蔵回路をCREB遺伝子の強制発現によって誘導することは困難であることが判明した。そこで、光遺伝学を用いて人工的に記憶回路を誘導する技術を新たに考案し、それに対して一定の成果を得ることができた(未発表)。また、c-fos遺伝子を持つトランスジェニックマウスを用いる方法についても検討を開始した。2を達成するためにWGA-Creという遺伝子を用いる方法を模索したが、これについてもレンチウイルスを使って以前論文に発表された結果を再現することができなかっためVSVという別のウイルスを使う方法を現在も模索中である。3について、光遺伝学的手法を検討し、一定の成果を得ることができた。研究半ばでは有るが、これらの成果が評価され、研究期間中に、筑波大学で独立した研究室を持つこととなり、本研究の完成を目指し現在も研究を継続中である。 本研究は、PTSDなどのヒト疾患に応用することで、社会的に重要な意義を与えることができる。現在、筑波大学精神保健衛生グループ、国立精神・神経センター精神保健研究所との共同研究などにより、本研究の精神科領域への臨床応用可能性を模索中である。
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