2013 Fiscal Year Annual Research Report
運動制御を担う大脳新皮質出力回路を遺伝子マーカーで切り分ける
Project/Area Number |
24700344
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鶴野 瞬 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (80548991)
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Keywords | 大脳皮質 / 神経回路 / 遺伝子マーカー |
Research Abstract |
研究目的1: 皮質下投射神経細胞(SCPN)の遺伝子マーカーと投射先の関係【内容】マウス大脳皮質運動野の第 5B 層のSCPNの遺伝子マーカーと投射先の関係を明らかにするため、逆行性トレーサーの投与と免疫染色法を実施した。すると、(1)一部のマーカーは近隣細胞間で発現量が大きく異なり、第5B層をさらに細かい層にに分けた。(2) マーカー発現量が投射先と相関していた。【意義、重要性】大脳新皮質の出力を担うSCPNにおいて、遺伝子発現プロファイルと投射先が密接に関係していることを明らかにした。 運動指令を脊髄に送る主要な経路には、大脳から橋や小脳を介するものと、大脳から直接送るものがある。今後、投射先と発現が強く相関する遺伝子を利用することにより、一方の経路の出力細胞のみに遺伝子を導入できるようになると期待される。これによって、各経路が運ぶ情報を明らかにしたり、運動疾患の治療に応用したりという可能性が考えられる。 研究目的2: SCPNの遺伝子マーカーと入力層の関係【内容】(1) 上記遺伝子マーカーの1つを発現したSCPNに、第2/3層から入る入力をマッピングすることに成功した。(2) 入力マッピング後にSCPNに発現する他の遺伝子を明らかにすることに成功した。【意義、重要性】SCPN は第5 B層の上部と中・下部の間で異なる皮質内回路から入力を受けることが知られている。目的1の結果(1)から遺伝子マーカーと細胞の位置が相関することが明らかになったので、遺伝子マーカーの発現が異なるSCPNは異なる回路から入力を受ける可能性が考えられる。また、マッピング後に複数のマーカーの発現量を調べることにより、遺伝子発現プロファイルと回路の関係を詳細に調べられるようになる。
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