2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700346
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
牧野 祐一 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 基礎科学特別研究員 (30619854)
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Keywords | 神経科学 / 電気生理学 / マウス / 記憶 / 恐怖記憶 / 海馬 / 扁桃体 / 前頭前野 |
Research Abstract |
状況恐怖記憶 (contextual fear memory) とは、我々が以前に恐怖の感情を喚起する経験をした環境・状況に置かれたときに再び感じる恐怖感情の記憶である。状況恐怖記憶には海馬、扁桃体そして前頭前野を含む複数の脳部位が関わることが知られているが、これらの脳部位間でどのような相互作用が起こって状況恐怖記憶を実現しているかは知られていない。そこで本研究ではマウスを用いて、状況恐怖記憶の想起時に起こる海馬、扁桃体そして前頭前野での神経活動及びその相互作用を電気生理学的に記録した。具体的には、マウスに状況恐怖条件付け課題を学習させ、その1日後と1か月後に海馬・扁桃体・前頭前野における3か所同時・自由行動下電気生理記録を行った。その結果、以下のことが分かった。(1) 課題学習後1日後と1か月後の両方において、全ての脳部位で状況恐怖記憶を想起しているときにのみ3-7 Hzの範囲内での局所脳波(LFP)が見られた。(2) 課題学習1日後にはこのLFPが海馬-扁桃体間で記憶想起中に同期し、また課題学習1か月後においてはこのLFPの同期が1日後と比べ有意に低下した。(3) 前頭前野-扁桃体間のLFPの同期は課題学習1日後より1か月後の方が高い傾向があった。これらの結果から、状況恐怖記憶が形成された直後 (recent memory) には海馬-扁桃体間の相互作用により記憶が想起され、長い時間が経った後 (remote memory) には前頭前野-扁桃体間の相互作用により記憶が想起されることが示唆された。
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