2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700351
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
堀江 正男 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70322716)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ジストニン / ジストニア / モデルマウス / lacZ |
Research Abstract |
本研究は不随意運動を生じる神経難病であるジストニアの病態を明らかにすることを目的として、我々が新たに作製したジストニンの遺伝子に変異を加えたマウス(以下、本マウス)の解析を行う。本マウスがジストニア症状を示すことは既に確認している。以上を踏まえ、平成24年度は本マウスの1.B6系マウスにバッククロスしたマウスにおける詳細な病態解析、2.コンディショナル・アリールとしての使用の可否の検討、3.原因となるジストニンタンパクの脳内における発現部位の解析を行った。 1に関して:本マウスにおけるジストニア症状出現の経時変化についての解析を行った。本マウスは、生後直後は正常マウスと見分けがつかないが、生後2週過ぎからジストニアの特徴である捻転性の歩行が現れた。その後、ジストニア症状が強くなり、体が捻れるジストニア姿勢が現れ、生後6週頃までに死に至った。症状の悪化が認められる生後4週以降において、本マウス脳の運動関係領域で神経活動と関係する最初期遺伝子の発現が激減していた。 2に関して:本マウスは外来のlacZ遺伝子を含むトラップベクターをジストニン遺伝子内に組み込んでいる。FLP組換え酵素を本マウスに作用させ、トラップベクターの逆位を起こしたホモマウスでは、ジストニア症状は現れなかった。この逆位マウスに、さらにCre組換え酵素を作用させて再びジストニンの不活性化を試みたところ、軽度の神経症状が現れた。以上の結果は、本マウスがコンディショナル・アリールとして使用できることを示している。ジストニア症状の発現については今後、その有無を注視する。 3に関して:本マウスではジストニン遺伝子内に組み込まれたlacZの発現を調べることで、ジストニンタンパクの発現を同定することができる。その結果、ジストニンタンパクは脳内の感覚領域のみならず、運動、連合領域など幅広く発現していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したとおり、平成24年度は交付申請書に記載した研究実施計画の通りにおおむね進んでいる。現在、平成25年度研究実施計画に記載した「これまでの結果を論文にまとめる」を遂行すべく、論文投稿を準備している。平成24年度研究実施計画に記載した、ジストニンに対する特異抗体の作製については、市販の抗ジストニン抗体を入手したので、今後、この市販の抗体を更に検討し、特異抗体を作製するかどうかを決定する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、先の交付申請書に記載したとおりに進めていく予定である。 平成25年度は以下の三点を予定している。一点目は、”ジストニアマウスの論文報告”であり、現在投稿準備中である。二点目は、”コンディショナル・アリールにおける局所的ジストニンタンパクの正常化および不活性化による表現系の解析”である。研究実績の概要の「2に関して」に示したとおり、現在コンディショナル・アリールにおいて、ジストニンタンパクの不活性化によるジストニア症状の有無を調べているところである。ジストニア症状が現れた段階で、組織学的な解析を進めていく。これと平行して、トラップアリールに直接Creマウスを掛け合わせることにより、本マウスにおけるジストニアタンパクの局所的な正常化を行う。三点目は”抗ジストニン抗体を用いたマウスおよびヒト組織でのジストニンタンパクの検出である。条件を設定できれば、将来はヒト病理組織におけるジストニンタンパクの免疫染色像の異常の有無によりジストニンタンパク異常を示す症例のスクリーニングを行うことが可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度での解析の中心となる、組織化学(免疫組織化学、in situ hybridization関連)および分子生物学(プラスミド精製カラム、制限酵素など)に用いる消耗品に係る費用そしてマウスの維持費を計上した。これに加えて次年度は、国際学会(国際形態科学シンポジウム:新潟)および国内学会(日本解剖学会:栃木)への参加・発表を予定している。
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