2012 Fiscal Year Research-status Report
p73シグナルが関与する成体神経新生異常と抑うつ様行動発症機構の解明
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24700355
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤谷 昌司 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (40376372)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経新生 / p53 / 抑うつ |
Research Abstract |
本研究は、p53ファミリー分子TAp73と糖質コルチコイドシグナルの相互作用を明らかにすることにより、海馬神経新生の異常を介した抑うつが発生するメカニズムを解明することである。平成24年度の実験計画通り、 (i) 種々のストレス負荷による抑うつ様行動にTAp73が関与していることを行動学的に証明 (ii)その原因となると考えられる海馬における神経新生への影響を証明 するために、以下の様な研究を行い、重要な成果を見いだした。 TAp73が関与していることを証明するために、野生型、TAp73のノックアウトマウスを用いて、行動学的検討を行う実験を計画していたが、共同研究先のマウスの繁殖不良により、TAp73のノックアウトマウスを入手することが困難となった。その代わりに、p73のノックアウトマウス、p53のノックアウトマウスを入手したことと、TAp73条件特異的ノックアウトマウスを作成するべくMMRRCよりES細胞を入手し、キメラマウスを作成した。 また、野生型マウスにおける基礎検討を行った。先行研究(David DJ et.al.,neuron 2009)の方法と同様に、低容量糖質コルチコイド35ug/ml=5mg/kg/day)を投与することで、ストレス状態に近い状況を作りだすことに成功した。実際、論文同様にオープンフィールドテストにて10分間のtotal distanceに低下傾向を示した。このことにより、p53ファミリー分子のmRNA、蛋白が海馬において上昇するかどうか、real-time PCR法,ウェスタンブロット法などにより定量評価を行った。予備的な検討では、p53,TAp73の発現自体には影響が見られなかったが、今後は、上記のノックアウトマウスを用いて分子的な相互作用を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、p53ファミリー分子TAp73と糖質コルチコイドシグナルの相互作用を明らかにすることにより、海馬神経新生の異常を介した抑うつが発生するメカニズムを解明することである。平成24年度の実験計画通り、 実験を施行しようとしていたが、当初の計画とは異なり、共同研究先のマウスの繁殖不良により、TAp73のノックアウトマウスを入手することが困難となった。その代わりに、p73のノックアウトマウス、p53のノックアウトマウスを入手したことと、TAp73条件特異的ノックアウトマウスを作成するべくMMRRCよりES細胞を入手し、キメラマウスを作成したことで、時間的なロスを来した。 ただ、幸いなことに、野生型マウスにおける基礎検討を行い、モデル動物に再現性が見られるという結果を得たので、この低容量糖質コルチコイド35ug/ml=5mg/kg/day)を上記の遺伝子改変マウスに投与しての行動解析実験を精力的に行っていきたいと考えている。また、海馬における神経新生への影響を解明していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に達成困難であった、以下の点について検討を行っていく。 i) 種々のストレス負荷による抑うつ様行動にp53ファミリー分子が関与していることを行動学的に証明 上記のp53ノックアウトマウス、新たに作成したTAp73ノックアウトマウスに糖質コルチコイドを投与することで、ストレス状態に近い状況を作りだし、その後に、オープンフィールドテスト、FST(強制水泳試験) ,TST(釣り下げ試験) といった、抑うつ状態に感度がある検査を中心に行動学的検査を行う。 ii) 海馬における神経新生への影響を証明 行動学的検査と同様糖質コルチコイド投与時に、神経幹細胞プールに異常を来すのか、BrdU法にて検討する。 ノックアウトマウスでのi) ii)の成果を元に、p53ファミリーによる糖質コルチコイドシグナルに対する分子相互作用の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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