2013 Fiscal Year Research-status Report
脳組織構築を制御するReelin―Dab1シグナルによる樹状突起形成機構の解明
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24700357
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本田 岳夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30365225)
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Keywords | Reelin / Dab1 / reeler / yotari / 樹状突起 |
Research Abstract |
Reelinは分子量約400kDaの巨大な糖タンパク質で、主に大脳新皮質の最表層にあるカハール・レティウス細胞から分泌され、ニューロンの移動・配置に必須であることが知られている。しかしながら、その生物学的機能や分子メカニズムについては十分に解明されていない。Reelinは移動ニューロンに発現するReelinレセプターであるApoER2とVLDLRによって受容され、そのシグナルは細胞内タンパク質であるDab1に伝えられる。我々は、dab1をノックダウンした際、ニューロンの樹状突起が低形成になること、また、生後徐々に樹状突起が辺縁帯を避ける様に走行する様子を観察した。また、我々は以前、Dab1が核と細胞質間を移行出来る、核細胞質間シャトルタンパク質であることを明らかにした為、Reelin-Dab1シグナルは、樹状突起形成に関与する遺伝子の発現を制御することにより、樹状突起の形成及びガイダンスを制御しているという仮説を考えた。そこでdab1をノックダウンしたニューロンに、樹状突起形成に関与することが知られているタンパク質を導入し、樹状突起形成に於ける影響を検討した。その結果、候補分子の導入により、樹状突起形成と辺縁帯への進入が部分的にレスキューされることが明らかになった。候補分子がどのシグナル伝達経路を用いて、dab1のノックダウン効果をレスキューしたのかを明らかにする為に、様々な変異体を用いて、候補分子のレスキュー効果を比較検討した。その結果、この候補分子はある特定のリガンドとの結合を阻害したときにのみ、その効果を失うことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
候補分子がどのようにdab1のノックダウン効果をレスキューしたのか、様々な仮説を検証しているが、未だその下流の分子メカニズムが明らかではない為。
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Strategy for Future Research Activity |
候補分子が、Reelin-Dab1シグナルに対して、どの段階で関与しているのかを明らかにする。マウス胎仔脳から得たニューロンに遺伝子導入し、dab1をノックダウンすると同時に候補分子を共発現して培養する。Reelinシグナルの下流分子として知られている分子群をそれぞれ免疫沈降法等で回収し、候補分子の導入に依存して、リン酸化等のタンパク質の活性化に影響を及ぼす変化があるかそれぞれの分子について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、次年度の研究費と合わせて消耗品購入に充てる予定である。 平成26年度は、候補分子をニューロンに導入した際に起る変化を観察する為の抗体等を購入する。また、学術論文による成果発表を行なう為の予算も計上する。
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