2013 Fiscal Year Research-status Report
経験依存的な知覚機能変化に伴う神経回路再編成メカニズムの解明
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24700362
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
足澤 悦子 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 特別研究協力員 (00446262)
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Keywords | 神経再生 / 神経可塑性 |
Research Abstract |
本研究課題目的は、感覚遮断により生じる機能向上と神経回路再編成の実体を明らかにすることである。感覚遮断が大脳皮質神経回路に与える影響を明らかにするため、先天的に網膜に異常があるマウス、また網膜異常に加えて聴覚障害のあるマウスを用いて実験を行った。視覚野が他の感覚重力を受けているかどうかを知るために以下の実験を行った。 実験日2日前より暗室飼育を行い、目からの光入力を遮断した。実験当日、暗室内においてマウスを新奇環境に入れ、その後活動依存的に発現が誘導されるc-fosタンパクの発現様式を解析した。視覚障害、また視覚と聴覚障害を持ち飼育されたマウスの視覚野において、暗室内で光が遮断されていたにも関わらず、4層および2/3層の神経細胞に視覚が正常なマウスに比べて有意に多くの神経細胞においてc-fosを発現していることが明らかになった。また、c-fosが発現している神経細胞の数は、視覚だけに障害のあるマウスよりも視覚と聴覚の両方に障害のあるマウスの方が多かった。以上の結果から、特定の感覚に障害があり飼育されたマウスにおいては、その感覚を支配する大脳皮質領域は、他の感覚によって活動されるような神経回路ができている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた聴覚遮断手術は、マウスの予後も悪く効率が悪いため、感覚遮断モデルマウスを変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
視覚障害および聴覚障害を持つマウスを用いて、視覚野内における神経回路が障害を持たないマウスに比べて、どのように変化しているかを、急性スライスを用いた電気生理学的手法により検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定した試薬(ケージドグルタミン酸)の条件検討を行った結果、当初の予定よりも使用を節約することが可能になり、また当該研究をH26年度も行うこととなったため、その費用に充てることとした。 本実験に用いるミュータントマウスの年間飼育費用に充てることとする。
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