2013 Fiscal Year Research-status Report
新規神経癌関連因子SKAP2を中心とした脳腫瘍悪性化機構の解析
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24700364
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
島村 真太郎 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30547138)
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Keywords | 癌の浸潤 |
Research Abstract |
脳腫瘍の悪性化には細胞の浸潤が深く関わっている。浸潤に関連するSrcキナーゼの下流の因子で、癌細胞で特異的に機能するものを標的とすることを考え、既にSKAP2という、従来癌への関与がほとんど知られていなかった因子を同定した。SKAP2は当初、脳腫瘍でSrc基質として単離されたが、意外なことにその後の解析で癌の浸潤に負に働くことが示された。SKAP2が真の腫瘍抑制因子であるか調べることと、SKAP2を基盤に癌の臨床応用へ繋げることが、本研究の目的である。既に、ヒトグリオブラストーマU87MGをヌードマウスの脳室に移植し、飼育後に悪性化した腫瘍組織を採取し、また別のヌードマウスに移植することを4回繰り返した、高浸潤型の腫瘍組織U87F4を得ている。この細胞と繊維芽細胞を用いた解析で、SKAP2と相互作用する因子としてWAVE2とcortactinを同定した。これらの相互作用によりSKAP2が細胞移動に関するアクチン重合を制御することを証明した。このようなアクチン重合の制御により、SKAP2が細胞移動や癌の浸潤を制御することを、ノックダウンと過剰発現の両方の系で、細胞レベルと個体レベルで証明した。さらに、以上の全ての結果に対して、SKAP2のリン酸化の影響を検証した。2013年、以上の結果をまとめて、その論文をTHE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY (JBC) で発表した。本研究ではSKAP2が脳腫瘍において癌抑制因子であることが示されたが、これに対して過去の報告では、SKAP2が細胞移動に正に働くことも示唆されている。このことから、SKAP2を臨床応用していくためには、SKAP2が癌抑制因子であるという土台を固めていくことが重要であり、現在、脳腫瘍以外の癌でSKAP2がどのような機能を持つか網羅的に検証している。このようなSKAP2のプロファイルが明らかになってきたら、その情報を脳腫瘍へフィードバックし、抗癌剤の開発へ繋げるつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは、SKAP2の相互作用因子としてWAVE2、cortactinを挙げて、その結合の意義を示し、細胞移動や癌の悪性化に負の影響を与えるという結果を示したことで、これは本研究の目的に沿っている。さらに、SKAP2に関する、細胞移動、癌の浸潤、アクチン重合、蛋白質相互作用、リン酸化の解析を一通り行って、論文にまとめたことが本研究の存在価値を証明している。前年課題となっていた臨床応用に関しても、脳以外の組織で網羅的に検証を行い、まだ未発表であるが一定の成果を挙げている。このような解析は、脳腫瘍を中心として、SKAP2が真の癌抑制因子であること確かめていく上で、重要なことである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在脳以外の組織で、SKAP2の癌への影響を網羅的に検証し、興味深い組織を絞っている。このような組織で検証を進め、脳腫瘍へフィードバックできるような結論を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全体額から比較したらわずかな額であり、誤差として生じたものである。 この額は具体的に研究計画を変更させるような要因にはならず、翌年度の額に加算して調整していく予定である。
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Research Products
(1 results)