2013 Fiscal Year Annual Research Report
運動出力の時空間パターンを生み出す神経回路基盤の解明
Project/Area Number |
24700395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高坂 洋史 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (20431900)
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Keywords | 運動制御 / ショウジョウバエ / 遺伝学 / 生理学 / 神経回路 / 介在神経細胞 / オプトジェネティクス |
Research Abstract |
本研究では、ショウジョウバエ幼虫の運動系をモデルとして、神経回路内で時空間活動パターンが生み出されるしくみの解明を進めた。特に、既に同定している抑制性介在神経細胞群 (per-IN)に着目して、運動回路内を神経活動が伝播していく速さがper-INによってどのように制御されているのかを解析した。 per-INの神経活動を抑制すると、ショウジョウバエ幼虫のぜん動運動の速さが遅くなることが観察される。そこで、per-IN と運動神経細胞との関係を調べるために、カルシウム感受性タンパク質を用いて、per-INと運動神経細胞の活動を同時に測定した。すると、per-INはそれがシナプス結合している運動神経細胞の活動よりも遅れて活動した。このことから、per-INは、運動神経細胞が活動する時間的長さを短く調節していると考えられる。そこで、per-IN の活動が運動出力に与える影響を調べるために、筋収縮の経時測定、及び、運動神経の電位変化測定を行なった。すると、per-INを抑制することで、筋収縮の時間的長さ、及び運動神経のバースト活動の長さが長くなった。このことは、per-INが運動神経細胞の活動長さを短くして運動速度を調節していることを示唆する。 per-IN がどのような神経支配を受けているかを調べるために、上流の介在神経細胞の探索を行なった。per-INで遺伝子発現を誘導するper-lexA系統を作成し、per-INとシナプスを形成する介在神経細胞の候補を探索したところ、下行性の神経線維を持つ介在神経細胞の同定に成功した。この介在神経細胞の活動を抑制したところ、ぜん動運動速度が遅くなったことから、この新規介在神経細胞がper-INを介して運動制御を担っている可能性が示唆される。今後、このような介在神経細胞の同定を網羅的に進めることにより、神経回路内における活動伝播速度がどのように生み出されているのかが明らかにできると期待できる。
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Research Products
(11 results)