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2012 Fiscal Year Research-status Report

感覚情報処理における自発活動の意義:光学的多チャンネル同時測定を用いたアプローチ

Research Project

Project/Area Number 24700397
Research InstitutionShimane University

Principal Investigator

濱 徳行  島根大学, 医学部, 助教 (60422010)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords脳機能イメージンク
Research Abstract

本研究課題は光学的膜電位測定法を用いて,ラット大脳皮質で感覚刺激時に生じる興奮波に与える自発活動時の興奮波の影響を解析することを目的とする。本年度は得られた記録より各ピクセルで記録した膜電位波形から興奮が生じるまでの時間差を測定し,等時線マップの作成を行うソフトウェアの開発と,それらを使用し自発活動時の興奮波伝播パターンの解析を行った。ソフトウェアの開発はマイクロソフト社製のVisual C++ 6.0で行った。光学信号はノイズが大きいため,興奮の生じる時間の測定を完全に自動化した状態ではノイズによる変動を検知してしまい,全ての測定点での記録を実験者が点検しなければならない状態となった。そのため,ソフトウェア側ではノイズレベルの高い部位では数点の候補を挙げるに留め,その候補から手動で判断する方式にした。ついで,このソフトを使用し,光学的膜電位測定法で記録されたラット大脳皮質体性感覚野での自発活動時の興奮波伝播パターンを解析した。大脳皮質体性感覚野を含む直径1cmの半円の領域から神経活動を記録し,自発活動時の興奮波発生部位やその伝播パターンの比較を行った。その結果,自発活動時の興奮波発生部位は記録領野の広範囲にほぼ均一に分布しており,発生部位が同一または近接していてもその伝播パターンは大きく異なることが判明した。さらに,新たに導入したADコンバータを使用して同時に光学測定と同時に,表面脳波を計測しその波形との比較も試みたが,関連はみいだせなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は解析用ソフトウェアの開発と自発活動時の興奮波伝播パターンの解析を行うことを目的とした。解析用ソフトウェアは,各測定部位で興奮発生を半自動で検出し,その時間差の測定を行い,その時間差より等時線図の作成を行うことを目指した。時間差の測定ではシグナルノイズ比にもよるが,おおむね,解析データの選定から測定完了まで20分程度で完了することが可能となった。これまでの手動での測定では1時間程度要していたことを考えれば,遥かに効率化できたものと考える。等時線図の作成はグラフ作成用のオープン・ソフトウェア「gnuplot」を使用することで,新たにソフトウェア開発を行うことなく当初の目的を達成できた。自発活動時の興奮波の解析では,その発生部位や伝播パターンに規則性が見いだせるのかを検討した。記録領野は体性感覚野のほぼ全体を含む直径1cmの半円とした。この領野内で興奮の起始部の分布を調査したところ,領野内にほぼ均一に分布しており,その伝播パターンにも発生部位との相関がないことが判明した。発生部位と伝播パターンに相関がみられれば,次年度の研究で個体毎に自発活動時の興奮波のテンプレートの作成は不要であることが判明した。以上のことから,今年度計画していた研究目的はおおむね達成できたものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

当初計画に沿って,感覚応答時の興奮波の伝播パターンが先行する自発活動の発生部位やその時間差でどのように変化するのかを解析する。そこでまず,感覚応答時の興奮波伝播パターンのテンプレート作成を行う。感覚応答による興奮のテンプレートには,自発興奮後充分長い時間が経過し,自発興奮影響を受けていないと見なせる伝播パターンを用いる。自発活動が先行した感覚応答時の興奮波の伝播パターンとテンプレートから推定される伝播パターンとの違いを比較する。次に,皮質の電気刺激や後肢とは異なる体部位に与えた刺激に対する応答時に生じる,自発活動以外の興奮波が後肢電気刺激によって生じた興奮波に与える影響を解析し,自発活動の影響と比較する。皮質の電気刺激に関しては現在検討中であるが,自発活動の興奮波発生部位の体性感覚野における分布から,記録領野の周辺部を刺激しても問題はないと考えられる。そのため,充分に細い金属線であれば,光学測定に支障なく使用することが可能である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

実験方法を見直すことで一回の実験で使用する膜電位感受性色素の量をこれまで0.4 mg使用していたものを,0.1 mgと大幅に削減することができたため,予定していた色素の購入量より,実際の購入量を少なくなり,繰り越し金が発生した。繰り越し金の使用として,新たに励起光フィルタと蛍光フィルタの購入を計画している。これは,これまでの使用量では一回の実験当りの価格が高価になるため,継続的な使用が困難であると判断していた,別の膜電位感受性色素の導入を検討しているためである。この色素ではこれまで使用していた励起光フィルタが使用できないため,現在,フィルタの価格や仕様についてメーカーと交渉しており,これの購入に繰り越し金を充てる予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Memory trace in feeding neural circuitry underlying conditioned taste aversion in Lymnaea2012

    • Author(s)
      Ito E, Otsuka E, Hama N, Aonuma H, Okada R, Hatakeyama D, Fujito Y, Kobayashi S
    • Journal Title

      PLos One

      Volume: 7 Pages: e43151

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0043151

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 膜電位イメージングで測定されるラット大脳皮質における自発的及び誘発興奮の伝播パターンに対する麻酔薬の影響2013

    • Author(s)
      濱 徳行,伊藤 眞一,廣田 秋彦
    • Organizer
      第90回日本生理学大会
    • Place of Presentation
      タワーホール船橋(東京都)
    • Year and Date
      20130327-20130329
  • [Presentation] ラット大脳皮質活動に対する麻酔薬の影響:光学的膜電位測定法を用いた興奮波伝播の時空間パターン解析による比較2012

    • Author(s)
      濱 徳行,伊藤 眞一,廣田 秋彦
    • Organizer
      第64回日本生理学会中国四国地方会
    • Place of Presentation
      高知市文化プラザ「かるぽーと」(高知市)
    • Year and Date
      20121027-20121028
  • [Presentation] 光学的膜電位測定法を用いたラット感覚運動野における刺激応答時興奮伝播パターンに対する麻酔薬の影響2012

    • Author(s)
      濱 徳行,伊藤 眞一,廣田 秋彦
    • Organizer
      第35回日本神経科学大会
    • Place of Presentation
      名古屋国際会議場(名古屋市)
    • Year and Date
      20120918-20120921
  • [Presentation] The brain responses to hunger and satiation in mollusc Lymnaea stagnalis2012

    • Author(s)
      Hisayo Sadamoto, Mai Ohmichi, Noriyuki Hama, Suguru Kobayashi
    • Organizer
      日本比較生理生化学会 第34回大会
    • Place of Presentation
      総合研究大学院大学(三浦郡葉山)
    • Year and Date
      20120706-20120708

URL: 

Published: 2014-07-24  

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