2012 Fiscal Year Research-status Report
超高感度リン酸化定量法の開発:単離平滑筋細胞の生化学的解析を目指して
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24700407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
竹谷 浩介 旭川医科大学, 医学部, 助教 (20586862)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 平滑筋 / 毛様体筋 / ミオシン / リン酸化定量法 / キナーゼ / ホスファターゼ |
Research Abstract |
平滑筋の収縮・弛緩の制御には種々のタンパク質のリン酸化・脱リン酸化が重要な役割を果たしている。従って、収縮・弛緩制御の分子機序を理解するためには、これらのタンパク質のリン酸化状態を定量する事が不可欠である。しかし、技術的困難のため、現状ではリン酸化状態の変化を相対的に検出する定性分析が主流となっている。本研究ではPhos-tag電気泳動法を用いた高感度リン酸化解析法を開発し、これにより高度に機能分化している微小平滑筋、特に、毛様体平滑筋の収縮制御機構の解明を試みている。Phos-tag電気泳動法によりミオシン軽鎖のリン酸化解析を行ったところ、ウシ毛様体筋においては収縮・弛緩の状態によらずミオシン軽鎖のリン酸化が常に高く、あまり変動しないことが見いだされた。また、この高いリン酸化状態は細胞外Ca2+の枯渇によってもあまり影響を受けなかった。一方、各種キナーゼの阻害剤を用いた場合には、ミオシン軽鎖のリン酸化は減少し、同時に筋の弛緩も見られた。これらの結果から、ミオシン軽鎖のリン酸化が張力発生には必須であるが、生理的条件下ではあまり変動せず高い状態に保たれており、筋の弛緩にはリン酸化以外の因子が関わっていることが示唆された。毛様体筋は素早い収縮・弛緩応答を行うために、ミオシン軽鎖のリン酸化・脱リン酸化以外の制御機構を採用しているのかもしれない。現在はこれらの可能性を検証するため、精製したアクトミオシンを用いてリン酸化依存、非依存の活性調節機構を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウシ毛様体筋における種々の条件でのリン酸化解析を行っており、収縮・弛緩の制御に最も重要と思われたミオシン軽鎖のリン酸化動態について一定の知見が得られた。また、各種阻害剤を用いたリン酸化シグナル経路の解析も合わせて行っており、制御に関わる因子の同定が進んでいる。ミオシン軽鎖以外のリン酸化解析については、まだ十分な条件の最適化が済んでおらず、現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の申請時にはミオシン軽鎖のリン酸化が毛様体筋の収縮弛緩制御の中心であると考えていたが、実際に定量解析を行ってみると収縮・弛緩によらずあまり変化していない可能性が示された。しかし、特定のキナーゼ阻害剤により収縮が抑制されることから、ミオシン軽鎖以外のリン酸化タンパク質が重要な調節因子として働いている可能性が考えられるので、より広範なリン酸化標的探索を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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