2013 Fiscal Year Research-status Report
単一試行脳波から脳活動状態変化を検出する新しい統計的解析手法の開発
Project/Area Number |
24700422
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
成瀬 康 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能計測研究室, 副室長 (00455453)
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Keywords | 脳波 / α波 / μ波 / 位相シフト / 位相同期 / 視覚運動 |
Research Abstract |
近年,脳波,脳磁界によって計測されるα波等の周期的な自発活動は,外部刺激により位相がリセットする,また,部位間で同期するといった現象の存在が知られてきており,注目が集まっている.これまでの自発活動の瞬時位相及び振幅の推定には主にヒルベルト変換やウェーブレット変換が使われてきた.しかし,自発活動の周波数,振幅は揺らいでいることから,これらの手法では推定精度が悪かった.そこで,本研究代表者は,自発活動の中でα波に注目し,マルコフ確率場モデルを用いて,これまでの手法よりも精度よく瞬時位相,振幅を推定する方法を構築した.その上で,本研究では自発活動の位相シフトを単一試行から抽出する手法を構築し,本手法を用いることで,実際の脳波単一試行から位相シフトの検出に成功した. 平成25年度は,これまでに,本研究により開発した単一試行脳波から周期的自発活動の位相シフトを検出する手法を用いて,位相シフトと脳機能との関係について調べた.これを調べるために,本研究では単純反応課題時の脳波データに適用した.その結果,反応の直前150ミリ秒のあいだにα波,及び運動・体性感覚野付近に見られるα波帯域の自発活動であるμ波の位相シフトが観測された試行では,反応時間が有意に長いことが明らかになった.位相シフトは,脳内の同期を引き越すことに関連していると推察される.それ故,本研究結果は,脳内の活動同期に要する時間が反応時間に影響を与えることを示唆する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により,これまで,α波変化を検出出来る手法の構築に成功し,それを利用することで,α波の位相シフトというα波変化が脳機能に関連していることを実際の脳波データを利用して示すことに成功した. 本研究の目的は,α波の状態変化を検出することが出来る新しい手法を構築し,それが実際に利用出来ることを実際の脳波データに適応して示すことである.本研究では,この二つをおおむね達成することが出来た.それ故,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは,上記のようにα波の状態変化を検出することが出来る新しい手法を構築し,それが実際に利用出来ることを実際の脳波データに適応して示すことが出来た.今後は,本手法を単純反応課題以外の脳波データに適応すると共に,α波の位相シフト以外の状態変化を検出出来る新しい手法の構築を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に購入予定であった解析用ワークステーションを平成25年度に購入したが,コンピュータの価格が安くなったことで,予定価格よりも安く買うことが出来た.また,国際会議への参加の旅費が不要であった. 最終年度では様々な脳波データに本研究により構築した手法を適用する予定である.そのために,既存の解析用ワークステーションでは能力が足りないため,追加購入することで,より,効率的に大規模な解析を可能とし,当初の予定以上の成果を上げることを目指す
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Research Products
(5 results)