2012 Fiscal Year Research-status Report
Foxe3下流活性化制御遺伝子を標的にした新規白内障モデルマウスの樹立と応用
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24700437
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (20508113)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Foxe3 / 白内障モデルマウス |
Research Abstract |
白内障は罹患率が高い眼疾患である。申請者は白内障を発症するモデルマウスrctの発症原因がFoxe3の眼球特異的エンハンサー領域の突然変異であることを明らかにした。これまでに申請者はrctおいて48種類の発現変動遺伝子および34種類の発現欠失遺伝子を見出している。Foxe3および同一カスケードに存在する転写因子群に生じた突然変異により白内障を発症する例はヒトにおいて数多く報告されていることから、それらに突然変異をもつモデルマウスの樹立を目的として以下の研究を行った。 Foxe3の下流活性化制御因子の候補と推測された6種類について、独立サンプル由来RNAを用いたqRT-PCRの反復実験を行った。その結果、Fgfbp1、Capns2、Aim1lおよびGsta2の遺伝子で野生型に比べrctで有意な発現量の減少が認められた。現在、これらの遺伝子についての局在解析を進めている。また、これらの発現変動の再現性が確認された遺伝子のうち、3つについて、Gene-driven mutagenesisにより、マウス変異体のスクリーニングを進めている。 それに加え、既知の3つのFoxe3下流活性化制御因子(Dnase2b、PdgfraおよびProx1)の遺伝子発現解析を行った結果、rctにはProx1の発現の局在に野生型との差異が認められた。しかし、Foxe3-/-の解析により示されたCryaaの局在異常は認められず、その局在は野生型と同様であった。以上のことから、rctマウスは既存のFoxe3マウスミュータントとは異なるカスケードによって白内障を発症するものと推測された。 また、マイクロアレイ解析により変動が認められた遺伝子について、独立サンプルによるqRT-PCRの反復実験を進めており、現在では19個の遺伝子のうち8個の遺伝子において再現性が認められ、スクリーニングを継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究進捗は当初計画に比べて、やや遅れている。Foxe3の下流活性化制御因子の候補について、in situハイブリダイゼーション解析を進めているが、ファインな結果は得られなかった。そのため、再度のプローブデザインや、用いる試料のパラフィン切片、凍結切片およびホールマウントなど、DIG検出方法などの条件検討を重ねたため、計画よりも進捗が遅延した。現在はホールマウントにおけるin situハイブリダイゼーションにより解析を実施している。 また、Gene-drivenミュータジェネシスによる変異体スクリーニングでは、Capns2についてスクリーニング実験を実施した結果、目的の遺伝子に突然変異を有する個体が得られなかった。現在は、再度スクリーニングを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Foxe3下流活性化制御因子の候補における遺伝子発現については、ホールマウントin situハイブリダイゼーションを行い、その後マイクロスライサーを用いて切片を作製することにより詳細な局在を調査する。また、マイクロスライサーによる切片作成の後のホールマウントin situハイブリダイゼーションについても検討する。 Gene-drivenミュータジェネシスによる変異体のスクリーニングについては、現在は再度スクリーニングを行っているが、同時に遺伝子の変異探索部位の変更を検討している。再度のスクリーニングの結果、変異体が見いだせない場合は、ノックアウトマウスによる解析を検討する。 さらに、現在はRNA-SeqやChIP-Seqなどの次世代シークエンス技術を用いた網羅的なFOXE3ターゲット遺伝子の同定についても検討しており、これについては申請者の所属する東京農業大学に設置されている生物資源ゲノムセンターとの協力により実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度予算と合わせて、研究試薬の購入に使用する。
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