2012 Fiscal Year Research-status Report
マウスにおける胎児ー母体間栄養代謝相互作用と疾患感受性に関する研究
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24700440
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古瀬 民生 独立行政法人理化学研究所, マウス表現型解析開発チーム, 開発研究員 (60392106)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DOHaD / カロリメトリー / 胎児期低栄養 / 妊娠時低栄養 |
Research Abstract |
妊娠前後では胎児への栄養輸送の必要などから、母体の基礎代謝は劇的に変化し、様々な疾患感受性に妊娠前と違った傾向が表れる。また、胎児は栄養を全て母体に依存しており、胎児の成長、疾患罹患率のみならず、胎児期の栄養因子が出生後の表現型に与える影響が注目されており、遺伝要因と外部環境が相互作用する事が明らかになっている。本研究は妊娠時の母体と胎児の相互作用に関し、基礎代謝と疾患への感受性に着目してマウスを用いて詳細に検討することを目的としている。これまで行った予備実験により、妊娠時における母体への低タンパク食の供給が仔の表現型に影響を与える可能性が高いことが明らかになっていることから、平成24年度は妊娠マウスへ提供する飼料は通常食(AIN93G)と低タンパク食(AIN93Gのカゼインを1/4に減じたもの(20 %→5 %))に特化させた。本研究では胚移植による妊娠前後のマウスに対して通常食(AIN93G)および低タンパク食を供給した。母獣の体重に関しては妊娠前に群間で差が見られなかったのに対し、計画に基づいた胚移植による妊娠後は低タンパク食群に体重低下が見られた。また、成長した産仔の血液生化学検査において、肝機能に関するパラメータに明瞭な差が見られたことから、妊娠期の母子間栄養輸送に何らかの異常をきたしている可能性が示唆された。妊娠時の母獣の呼吸商などの代謝パラメータの測定に先立ち、未妊娠のC57BL/6のカロリメトリー測定を行い、コントロールデータの収集を行った。その結果、未妊娠マウスに関しては安定的なデータが得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体外受精と胚移植によるにより母獣を妊娠させ、低栄養食を供給する実験系を確立し、calorimetry装置を用いた代謝量の測定系も安定的に運用可能となったことからおおむね順調に進展しているといえる。ただし、妊娠マウスのcalorimetry測定に関しては取り急ぎ実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、妊娠時のcalorimetry検査とともに、出産直前の母獣に関して、継時的に体重、体長測定、採血および血清生化学検査を行う。また、胎児の採血を行い、グルコカードを用いた簡易法による血糖値測定を通常行い、必要に応じてほかの項目の測定方法を検討する。さらに、Glut1変異体のheterozygote雄およびwild type雄より精子を得て、それぞれC57BL/6J雌より得られた卵子と受精させ、胚をICRに移植する。使用する飼料は標準食と、前年の実験で最も変化の大きかった飼料、小さかった飼料を用い、胎児の遺伝子異常による母体側への影響の顕在化を試みる。移植、継時的に基礎代謝をモニタリングする個体と血液を採取する個体群に分割し、前年より時間解像度の高い実験を行う。胎児の遺伝子型、継時的な代謝データ、継時的な血清生化学データの交互作用を統計的に解析することにより、母体→胎児、胎児→母体の相互作用を定量的に分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)