2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNAの代謝制御機構の解明およびその解析方法の確立
Project/Area Number |
24700442
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
島貫 碧 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 基盤技術研究職員 (20593643)
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / mtDNA / コピー数 / 代謝回転 |
Research Abstract |
本研究では哺乳類におけるミトコンドリアDNA(mtDNA)の代謝制御機構を解明することを目的としている。前年度においては、生理的環境変化によるmtDNA量への影響が示され、当該年度ではその現象の分子メカニズムのさらなる理解を目指した。具体的には、これまでに定常状態におけるマウス組織のmtDNA量をリアルタイムPCR法により解析し、その結果、異なる代謝特性をもつ多様な組織間ではその量に違いがあることを明らかにしている。さらにマウスを一時的な絶食状態に曝すことで一部の組織で著しくmtDNA量が変化する結果を得た。予てより、飢餓適応により活性化されたオートファジー(AP)がミトコンドリアを分解対象とすることが報告されている。そのため、本研究で示された上記現象は、“絶食により誘導されたAPによってmtDNAが分解された結果である”という仮説によって説明される可能性がある。そこで、本仮説の検証を当該年度の目的とし、mtDNA分解におけるAPの関与を視覚的に確認するため、APおよびミトコンドリアの可視化トランスジェニックマウスを用いて形態学的解析を行った。その結果、絶食状態のマウスの特定組織において、ミトコンドリアがAP特異的な膜により覆われていることを確認した。また、この結果はmtDNA量の著しい変化が観察された組織と相関が認められた。さらにmtDNA量の減少が示された一部の組織においては、絶食後にmtDNAのバイオジェネシスに関する多くの遺伝子の発現量が上昇していた。このことから、mtDNA量の減少は複製機構の変化によるものではなく、分解機構の影響が示唆され、本仮説を支持する結果となった。現在は、AP必須遺伝子欠損マウスを用いて、絶食によるmtDNA量の影響を解析すると同時に、日常的な代謝回転機構へのAPの関与とその生物学的意義の解明への展開を図っている。
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