2012 Fiscal Year Research-status Report
金属ナノ構造と光の相互作用を利用した生細胞―人工材料界面の分子プロセスの解析
Project/Area Number |
24700449
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 智広 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30401574)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
表面増強ラマン散乱 (Surface-Enhanced Raman Scattering: SERS) 分光法は水中で金属表面近傍, 数nmの領域の分子を選択的に振動分光解析が可能な非常に有用な手法である. 我々はSERS分光法を細胞の振舞い(接着, 伸展, 細胞死等)に影響を与える足場タンパク質の構造・配向の解析に応用することを目指している. SERS分光法では蒸着基板が広く用いられ, 蒸着の際に形成された金属間の微小間隙(ギャップ)からの信号が特に強く観測される. しかしながら, ギャップのサイズは数nm以下と考えられ, タンパク質のサイズ(数~数10 nm)に比べ極端に小さいため, 通常のSERS基板でタンパク質を測定することは困難である. 本研究では測定対象となる吸着タンパク質以外からのシグナルを抑え, 吸着タンパク質の解析に最適な基板の作製を試みた. 本研究では特に光学系の設計, 金属材料の選択, 及びギャップが存在しない平坦な基板の作製を行った. レーザー光 を対物レンズを通して金属基板に集光照射し, 表面に吸着した対象化合物から発生するラマン散乱光を分光器に導入して検出するSERS顕微分光装置を構築した. 金属材料としては液中測定においても酸化膜を形成しにくい金を選択した. 平坦な基板を作製するために, 金とガラス基板の接着層として, その中でも特に金表面のラフネスを減らすことができるゲルマニウムを使用し, 真空蒸着によって基板 (Au/Ge基板) を作製した. この基板に1 mMのチオフェノール (PhSH) 溶液を滴下してSERS測定を行い, 比較対照としてゲルマニウムを用いない金基板 (Au基板) を用いて, ピーク強度の比較を行うことでこの基板表面のラフネスとギャップの関係について評価を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオインターフェース解析のためのSERS基板の作製から、評価を行い、学術論文の発表(投稿中)、国際会議での発表を行った点に置いて、当初の計画書の目標を達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度で作製したSERS基板を用いて有機分子、生体分子のラマンスペクトルが観測可能となった 。 今後は電場強度計算などを利用して, 吸着タンパク質のラマン解析が可能な最適なナノ構造を探索し, Au/Ge基板に成形を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度はナノリソグラフィー及び自己組織化現象を利用して作製したナノ構造をSERS基板に活用する。特に簡便な作製方法、低コストを意識し、表面増強ラマン分光法をセンシング分野でのアプリケーションを模索する。 未使用額も次年度の計画のために使用する。
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Research Products
(3 results)