2013 Fiscal Year Research-status Report
視覚機能の神経生理学的検討に基づくストレス評価法の高精度化
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24700451
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
飯島 淳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00377186)
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Keywords | 瞳孔 / サーカディアンリズム / 自律神経系 |
Research Abstract |
瞳孔計測からサーカディアンリズムの推定を目指し,被験者実験を進めてきた.起床後2時間(±30分)から一時間毎に8時間,瞳孔径および対光反射と体温を計測した.瞳孔の対光反射は,青色光と赤色光の2種類でそれぞれ刺激し,その時の瞳孔の縮瞳(瞳孔が光に反応して縮小する現象)や散瞳(瞳孔が縮瞳の状態から元に戻る現象)の様子を小型赤外線カメラを搭載したゴーグルを用いてビデオ映像解析の方法で定量化した.青色は中心波長が470nm,赤色は620nmであり,刺激される網膜上の光を感じる細胞を区別する方法とした.その結果,青色と赤色で刺激する光の強さは同じにも関わらず,瞳孔の反応する時間変化に違いが見られた.特に30秒間の比較的長い時間刺激した場合では,青色刺激の場合,瞳孔は縮瞳した状態を維持していたが,赤色刺激の際の瞳孔は元に戻る傾向が見られた.また,同時計測している体温の時間変化と瞳孔反応の時間変化を比較したところ,青色刺激に対する瞳孔反応の特徴量と体温変化に相関関係が見られた.つまり,体温変化に見られる生体の日内変動は,青色刺激に対する瞳孔反応を分析することで推定出来ることが示唆された.今後は,青色刺激に選択的に反応する網膜上のメラノプシン神経節細胞のみを刺激する方法で,より詳細に上記の関係を分析していく.また,この現象の神経メカニズムについても検証を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メラノプシン発現網膜神経節細胞を選択的に刺激する装置の開発を後にまわし,生体計測実験を先行させたため,当初計画よりを若干の遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
メラノプシン神経節細胞の刺激装置の開発を進め,ヒトおよび動物実験を実施する.これまでに得られた瞳孔と体温の日内変動の同期性を,他の自律神経系指標(心循環系)の計測データも加えて再度解析し,自律神経系のネットワークの稼働状況とサーカディアンリズムとの関係を明らかにしていく.これより,生体のリズムの恒常性を評価し,ストレス疾患などを未然に防ぐための方法を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた方法での機器開発を新規方法に切り替えて実験精度の向上を図るため,開発時期を遅らせる必要が生じた.そのため,予定実験の順序を変更して,先に生体実験を実施した.機器開発に見込んだ資金の使用が延期となった. 新規手法による刺激装置の構築にあたる.また,それによって得られる結果の解析,および成果発表を次年度に行なうこととし,次年度使用額をそれらの経費に充てる予定である.
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