2013 Fiscal Year Research-status Report
整形外科人工関節手術計画における統計アトラスを用いた関節部応力状態の高速予測
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24700452
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鍵山 善之 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (30506506)
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Keywords | 計算機支援外科 / 手術計画 / 統計アトラス / 有限要素解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,統計アトラスを用いた整形外科インプラント手術計画における骨及びインプラントの応力状態の高速予測である.近年,インプラントの三次元手術計画は,高精度な施術を実現する手術ナビゲーションシステムや手術ロボットの実用化に伴い,重要性 が増している.術後のインプラントのゆるみ,脱落を防ぐためにも,手術計画の段階で,インプラントの応力状態を考慮し,適切な設置位置姿勢を確定する必要があるが,応力計算には多大な計算負荷がかかるため,位置姿勢調整をする毎に解析を行うのは難しい.そのため,多様な骨形態及びインプラント位置関係での応力状態を事前に解析学習し、対象となる患者骨及びインプラントにフィッティングさせることでその応力状態を高速予測する統計アトラスを構築する. 本年度は,4面体メッシュベースの三次元有限要素解析モデルの学習データによる応力状態を含む統計アトラスの試作及び多数学習データの自動生成を目標としたボクセルベース三次元有限解析モデルへの適用を検討した.手術済み症例の専門医による手術計画データ17症例の解析を行い,専門医インプラント設置の応力状態の統計解析を行った.また,その専門医手術計画の最大応力値を手術計画アトラスの1評価値として導入し,新規症例の手術計画自動最適化において応力状態を含んだ最適化が行えるようにした.前年度のものと異なり,カーネル密度推定による専門医傾向により沿う自動最適化を連続実行できるようにし,応力状態と他の臨床評価値のバランスの取れた最適解を得られることが確認できた.このことから応力状態を含む統計アトラスによる骨・インプラントの応力状態予測と,その結果と他臨床評価値を含めて手術計画全体を最適化する手術計画統計アトラスの連携により,本手法を組み込んだ臨床システムの実現可能性を示せたと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,骨及びインプラントの応力状態を含む統計アトラスの構築だけでなく,応力状態を含む手術計画最適化方法の実装としてカーネル密度推定に用いた手術計画アトラスを構築し,術前段階における応力状態予測による手術計画最適化の枠組み全体の開発を行った.学習データの作成では,前年まで行ったいた4面体メッシュベースの有限要素解析モデルに加え,研究協力者の協力を得て,よりプリプロセスの自動化が容易なボクセルベースの有限要素解析モデルによるアトラス構築法の検討を行った. また,手術計画アトラス構築のため,手術済み症例の専門医手術計画を有限要素解析を実施し,専門医手術計画17症例分での応力状態の統計解析を行い,その傾向を学習させた.手術計画アトラスには,それで得た最大応力値傾向と臨床評価値傾向を組み込み,新規症例での手術計画最適化を実施し,応力状態及び臨床評価値ともバランスの取れた最適手術計画が得られているのを確認した.これらのことから,全体としておおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後大量の学習データ作成にあたり,1症例あたり数百に及ぶインプラント位置姿勢での有限要素解析においてプリプロセスの自動化は重要となる.これまでの4面体メッシュベースの三次元有限要素モデルに加え,骨ボクセル内に容易にインプラントボクセル置換が可能なボクセルベースの三次元有限要素解析モデルでの学習データ構築システムの開発を推進する. また,構築がほぼ完了した手術計画アトラスを加えての応力状態を含む新規症例手術計画最適化の専門医による評価を行い,前向き適用に向けての準備を行う.準備が完了次第,前向き適用による術前支援を実現する.また,提案アトラスの他分野への適用についても検討する.
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