2012 Fiscal Year Research-status Report
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24700462
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山本 洋 北里大学, 一般教育部, 助教 (00381640)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電磁波計測 / 生体情報・計測 / テラヘルツ帯 |
Research Abstract |
①測定系の調整を行い、より狭い領域に対しても物性値を計測できるよう系の構成を組み直した。 これまでの測定系を改良し、狭い領域に対しても複素比誘電率が測定できるような測定系を構築した。人体皮膚の複素比誘電率は皮膚の持つ水分に強く影響されるが、皮膚の含水率はその部位によっても異なるため、それらを識別できることが必要になる。しかしこれまでの測定系では、ある程度広い領域に電磁波を照射していたため、その照射領域の複素比誘電率の平均を計測していた。皮膚の各部位に対しより正確な値を導くためには、電磁波照射領域を狭め、物性値の分布が計測できるような測定系を構築することが望ましい。また実験を進めていった際に、新たに干渉の影響が大きいことがわかり、この影響を排除する必要が生じた。このため系の構成や新たな手法を導入することにより、これまでより狭い領域に対して干渉の影響を受けることなく複素比誘電率が計測できるような測定系を構築した。 ② ファントム素材となり得る各種材料の物性値を測定し、データを蓄積した。 ファントムの素材として使用可能な素材を探索し、それぞれの物性値を測定、データベース化した。部材としてある程度の大きさのものを用意することによりこれまでの実験系で測定を進めることができ、また①で述べた干渉の影響も最小限にとどめることができた。素材としては汎用的な使用を想定し、できるだけ市販の材料で人体表皮の物性値を再現できる素材の選定を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
狭い領域に対する測定系の構築にあたり、いくつかの新たな部材を発注していたが、それらの到着が遅れたこと、また到着した部材が所定の性能を発揮しなかったため当該の会社とのやりとりが発生したため、系の構築が遅れ、予定していたいくつかの測定が実施できなかったことが主な原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
① 人体皮膚に関する物性値のデータを収集すると共に、外的要因に対する応答を調べることで、被験者の生理反応と物性値との関連性を見いだす。 人体皮膚に対するデータの蓄積をはかると同時に、これまでに作成したファントムを用い、外的要因がどのように各物性値に影響を与えているかなどの、より詳細な物性値の変化を明らかにする。ファントムを用いることにより気温・湿度等の外的要因による違いと被験者の状態による物性値変化を区別し、被験者の状態と各物性値との関連性の精度を向上させ、より本質的な傾向を明らかにする。人体の特定の部位において、このような関連性が得にくい場合は、測定部位を変更し、物性値の変化がより起こりやすくかつ被験者に負担のかからない部位の特定を図る。部位ごとに最適な測定方法が異なる場合には測定方法の改良も検討する。 ②皮膚表皮の物性値をシミュレートできる素材・構造を確定し、ファントムを作成する。 過去のデータに基づき、テラヘルツ帯で測定された物性値が同等の値になるような素材を確定し、それらを組み合わせた構造を持つファントムを作成する。テラヘルツ帯の電磁波はマイクロ波に比べて透過性が異なり、一般に市販されている電磁波用のファントムならびにその素材では皮膚を正しくシミュレートすることができない。従って、前年度の検討結果を基にテラヘルツ帯での物性値をより精度良く再現できる素材を確定し、物性値の測定における基準となるファントムを作成する。また、組織内部の水分量をコントロールできる構造を導入し、皮膚表皮に対する外部刺激(温度や湿度の影響)や皮膚そのものの保水能力による影響などをシミュレートできるようにする。さらに、ゲル状の物質を用いたファントムを作成できるよう素材の確定を行い、測定物の形状による違いも再現できるファントムを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度において、ファントムとして使用可能な素材をさらに調査・検討すると共にファントムを作成するための各種素材を購入する。できるだけ市販の材料を利用して開発を行う予定であるが、検討する試料の種類が多く相応の費用を計画している。また、各年度ごとに研究成果を学会に発表するとともに論文として投稿する予定であり、そのための学会参加費、旅費、論文投稿費用などを計画している。
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