2013 Fiscal Year Research-status Report
光応答型分解性ドーパミンによる歯科矯正用接着レジンの開発
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24700477
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
徐 知勲 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (20611544)
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Keywords | 歯科材料 |
Research Abstract |
本研究の目的は、歯科矯正用補綴材の可逆的な装着のための新規光応答型分解性高分子接着レジンの開発である。前年度の研究では接着性成分を有した新規光分解型接着性モノマーの合成から始め、モノマーのポリマーへの重合能力を確かめた上で、365nm波長の紫外線でも分解特性を確認していた。接着性モノマーの重要な特性である歯のエナメル質への浸透能力及び接着特性を調べるためエナメル質の主成分であるヒドロキシアパタイト製のQCM-Dセンサー表面に合成した分解性モノマーを接触させ、吸着特性を調べることで歯組織とモノマーとの相互作用に関するモデル実験を行った。その結果一般の接着モノマーである市販のMDP溶液に比べ80%程度の接着量を見せていることが確かめられ、ヒドロキシアパタイトへの接着特性を有していることを確認した。しかし汎用性のレジンモノマーである2-ヒドロキシエチルメタクリレートやメチルメタクリレートなどのモノマーとの相溶性までは確保ができず、極性変化などの工夫が必要であった。その極性の問題には極性のドーパミン基と非極性のニトロペニル基を同時に有していることが原因とされ、ドーパミン基より極性の低い接着モノマーの合成条件も同時に進行している。具体的には金属及び無機のフィラーなどに優れた接着能力を有するシランカップリング剤(トリエトキシシラン)をドーパミン成分の代わりに導入する方法に関しても検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画したドーパミン由来の新規分解性モノマーの場合、合成は確認されたものの、容易に酸化されてしまい、期待通りの接着特性を見せていないことやほかのレジンモノマーとの相溶性が悪いことが判明し、市販の接着剤であるMDPと同等な接着力を持たせるための新たな分子設計を重ねて検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
分解性モノマーの接着レジンへの応用条件を検討する。具体的には接着性モノマーと架橋剤を市販の粒径10μm程度のシリカフィラーと有機溶媒中で混合させ、カンファーキノンを開始剤としたラジカル重合を行い、接着レジンの硬化特性を評価する。 さらに前年度までドーパミン由来の接着モノマーの接着強度が市販の接着モノマーよりやや弱いことが確認されたことからヒドロキシアパタイトと強い相互作用をすると知られているリン酸基やシランカップリング剤などの導入も重ねて検討していく予定である。 さらに合成したモノマーのエナメル質への浸透・接着能力を評価するため、ヒドロキシアパタイト製QCM-Dセンサーを用い、モノマーと歯組織との相互作用を定量的に解析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
事務手続きの関係上、次年度の使用額として計上することとなったため。 事務手続き上のことであり、次年度の消耗品費として計上する。
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