2012 Fiscal Year Research-status Report
磁界共鳴技術とインプラント型磁気ハイパーサーミアの融合
Project/Area Number |
24700491
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田倉 哲也 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00551912)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 磁界共鳴 / ハイパーサーミア / 高周波磁界 / 磁性材料 |
Research Abstract |
平成24年度においては,MHz帯の電磁界を利用する磁界共鳴方式に合わせたインプラント型ハイパーサーミア用発熱素子に関して,発熱素子の設計および磁性材料の選択方針について検討を行った.最初に行った検討は磁界共鳴方式に適した発熱素子の設計についてである.発熱素子の高周波磁界中における発熱量を求めるために,有限要素電磁界シミュレータを用いて周波数解析を行った.得られた金属環部の電流密度の周波数特性より,周波数を上昇させたときの発熱素子の温度分布の傾向を把握することができた.また,形状によって左右される実効的な透磁率とインダクタンスの周波数特性についても解析を行い,高周波磁界中における発熱量の共振回路を含めた設計を行なえる環境を整えることができた. 次にMHz帯の磁界中で機能する感温磁性材料の選択方針について検討を行った.磁性材料の材質により高周波磁界中に磁性材料そのものが出す熱(損失)は異なるが,その損失は磁性材料の磁気飽和の温度特性とも関係がある.そこで,磁性体の磁気飽和を考慮した解析方法を提案することで,効率良く発熱させるために求められる磁性材料のパラメータを明確にする手法を確立した.これにより,本方式に求められる磁性材料としては,低損失な特性を有する磁性材料よりも,励磁磁束密度を効率良く熱エネルギーへ変換することが可能な高飽和磁束密度を有する磁性材料の選択が優位であることが示唆された.また,提案した手法が妥当なものであるか寒天ファントムを用いた実験を行い,実測値と解析値(どちらも発熱素子からの温度分布)を比較したところ,概ね結果が一致し,磁気飽和を考慮した発熱量解析が妥当であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した平成24年度の実施計画における2つの課題(発熱素子の設計および磁性材料の選択方針)を満足するべく研究を進めてきた.発熱素子の設計においては,高周波磁界中における発熱素子の電気回路パラメータを把握することができ,共振回路を含めた設計が行えるようになった.計画していた発熱素子の最適設計を行える土壌ができたと言え,達成度は高い.また,磁性材料の選択方針においては,高い発熱効率を実現する素子に必要な磁性材料の磁気的特性を明らかにすることができ,選択の範囲を絞り込むことができるようになったため,こちらも達成度は高い. 以上の2つの課題を明確化することで磁界共鳴方式に適した発熱素子を実現する道筋をつけることが可能となった.ゆえに,一定の達成をみることができたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度において,高効率な高周波外部磁界発生装置の設計・開発と,そこから出る電磁界の人体への影響について解析・調査を行う.まずは高効率な高周波外部磁界発生装置について.効率良く磁界を発生させるためには磁界を発生させるコイルの損失が低いことが条件である.MHz帯における磁界共鳴方式用コイルの損失は,主にDC抵抗,表皮効果による抵抗そして近接効果による抵抗に起因しているが,磁界共鳴方式が盛んな周波数帯における低損失な線材が明確化されていない.そこで,有限要素電磁界シミュレータを利用し,素線径・より本数・素線配置の観点から,優れた線材構成を明らかにすることで,高Q値を有する外部磁界発生装置を目指す.また,患部で最も効率よく磁界を発生させることが可能なコイル形状として,コイル外径・内径・巻数の観点からも検討を行う.その後,実機を製作し,発熱素子との加温実験から有効性を確認する. 次に,開発した装置周囲の電磁界分布を計測し,ICNIRPガイドラインの参考レベルとの比較検討を行う.さらに,得られた電磁界分布を用いて人体内に誘導される電磁界を数値人体モデルから解析し,本システムの人体に与える影響を調査する.また,EMCを考慮して外部漏洩を防ぐ方法について検討を行う.以上の検討から,磁界共鳴用磁界発生装置の構成を明らかにできる.尚,最終年度は得られた結果をとりまとめ,順次成果の発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成25年度請求額とあわせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)