2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700493
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
島田 博文 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (10414575)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / 光線力学的療法 / イオンビーム / 活性酸素 |
Research Abstract |
初年度は本研究に関する調査,活性酸素種を同定するための基礎的なデータの収集を行った。 まず,PDT用薬剤の粒子線励起による放射線化学的及び放射線力学的性質の基礎的なデータを取得し,本治療システムで腫瘍組織を死滅させる役割を果たす活性酸素種の発生を定性的に評価した。 基礎的なデータの取得のため,サンプルは濃度分布が均一な水溶液中において粒子線を照射した。PDT用薬剤には加齢黄斑変性症に使用されているビスダイン(ベルテポルフィン)を採用し,蛍光プローブは一重項酸素用としてSinglet-Oxygen Sensor Green,活性酸素(主にOHラジカル)用としてHydroxyphenyl Fluorescein,ラジカル捕捉剤として,アジ化ナトリウム,一重項酸素の長寿命化用として重水をそれぞれ採用した。PDT用薬剤の濃度は薬剤の標準投与量15 mg,循環血漿量基準値48 mL/kg,仮想体重60 kgとした時の最高血中濃度5.2 x 10-3 mg/mL(ビスダイン: 7.2 x 10-6 M)を用いて照射実験を行った。その後,照射サンプルの光励起による蛍光測定を行い,PDT用薬剤の有無によって活性酸素種の発生が促進されていることが確認できた。 続いて,これらの知見をもとに,肺がん上皮細胞(A-549)とビスダインを用いて,X線照射(5 Gy)を行ったところ,ビスダインを添加していないコントロール群に比べ,細胞の生存率が低下し,放射線照射と光増感剤との併用により,殺細胞効果が向上することが見出せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は,予定通りの回数の重粒子線(炭素イオン線)ビーム照射実験を行うことができなかった.添加する薬剤についても,それぞれ1種類ずつしか確認することができなかった. その理由として,1)業務の一つである群馬大学重粒子線医学センター治療業務が想定以上であったため,2)それに伴いマシンタイムの十分な確保ができなかっため,再現実験や他の薬剤を使用した照射実験を行うことができなかった. また,群馬大学重粒子線医学センターは,基本的には治療施設であるため,初年度における実験環境を早期に立ちあげられなかったことも,遅延の理由としてあげられる.特に,照射後の測定を行うまでに照射施設から測定装置の設置場所まで時間的,距離的に離れてしまったため,想定していた結果を取得するまでに期間を要してしまったことが考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,まず平成24年度に取得予定であったうちの,実施・取得できなかったデータの取得を行う.次に,粒子線の線量及びPDT用薬剤濃度を変化させ,薬剤濃度及び照射線量と活性酸素種の発生量の相関関係を明らかにし,腫瘍組織に有効である活性酸素種が最も効率良く発生する条件を探索する。照射線量及び薬剤濃度は実際の治療時よりも低線量・低濃度で実験を行い,活性酸素種の発生量を系統的に評価する. PDT用薬剤の放射線分解生成物の分析実験は,治療線量相当の各種放射線をそれぞれ照射後,高速液体クロマトグラフィーを用いて行い,分解生成物の同定及び毒性試験を行う. また,腫瘍細胞への粒子線照射実験は,PDTが有効とされている扁平上皮がんを用いて行う。肺の扁平上皮がん細胞を培養し,細胞数,PDT用薬剤濃度,照射線量,線質を変化させ,粒子線照射後にコロニーアッセイ法などの致死効果判定を行い,より致死効果の大きい条件の探索を行う.肺の扁平上皮がんの細胞実験の結果に基づき,他の腫瘍細胞による同様な実験を行い,本方法が適した腫瘍の探索を行う.粒子線治療及び光線力学的療法よりもさらに低侵襲性な治療システムが構築可能であるかどうか検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は初年度同様の溶液照射に加え,放射線分解生成物の分析及び細胞培養実験並びに細胞照射実験を行う計画である.初年度に実施できなかった実験分の消耗品費も計上したため金額が多くなっている.実験装置に関しては,平成25年度も既存の設備・機器を使用することが可能であり,設備備品としての実験装置は計上 していない. 旅費については,研究成果の発表として,国外・国内の関連学会に参加する予定であり,旅費と参加費をそれぞれ計上した.
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