2013 Fiscal Year Research-status Report
周期構造化により低周波数帯域の電気的特性を合致させた電磁ファントムの研究
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24700502
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山本 隆彦 東京理科大学, 理工学部, 助教 (50579761)
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Keywords | ファントム / カーボン / 誘電率 / 導電率 |
Research Abstract |
薬事法の改正によりすべての医療機器は電磁両立性(EMC)を満足することが義務づけられた。体内埋込み型や密着型の医療機器においては,生体の存在による影響を考慮し機器が実際に使用される状態に近い条件下でEMC試験を行うことが望ましい。これを実現する方法の一つとして,ファントムの使用が挙げられる。薬事法により定められたEMC試験を行う上で必要なファントムの電気的特性は誘電率および導電率(以下,電気的特性という)である。これらの電気的特性が生体と合致することが求められているが,例えば薬事法に基づいたEMC試験項目の一つである放射性妨害波の試験周波数帯域(30 MHz~1 GHz)と比較すると,低周波数帯域においては十分とは言えない。 本研究では,周期構造化により低周波数帯域の電気的特性を合致させたファントムの研究開発を目的としているが,平成25年度の研究は,カーボン系材料の添加による低周波数帯域における電気的特性の改善について特に研究を行った。平成24年度はカーボンマイクロコイル(以下,CMCという)を従来の高含水ゲルファントムに添加し電気的特性を改善させたのに対し,平成25年度はCMCと比較して低価格な材料により同等の効果を得ることあができた。さらに,材料添加による電気的特性向上のメカニズムについて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来ファントムの誘電率は生体の筋肉組織と比較して低く,従来の原材料の調合割合を調整するのみでは低周波数帯域において所望の電気的特性を得られないことが明らかになっている。単一材料により低周波数帯域における電気的特性を模擬するのが困難と考えられていたことから,本研究では周期構造を有するファントムを提案し,検討を行うことになっていた。しかしながら,平成25年度の研究成果より,試作が容易な単一構造の材料により電気的特性を模擬できることが示唆された。さらに,平成24年度に提案したファントムと比較して低価格で同等の特性を得ることに成功している。さらなる材料定数の調整は必要であるものの,低周波数帯域における電磁ファントムの標準として普及することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
カーボン材料の添加によるファントムの材料調合割合のさらなる調整を行うと同時に,誘電率増加に関するメカニズムについてさらなる検討を行う。また,評価を行えていない周波数帯域における電気的特性の測定を行い,開発したファントムの広帯域化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたよりも試作のための材料費が低価格となった。これは,研究成果の一つである低価格な材料によるファントムの実現によるものである。 研究が順調に進捗していることから,従来の計画に加え,十分に検討を行えていない周波数帯域の電気的特性評価のため,治具の試作等を行う。
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Research Products
(6 results)