2012 Fiscal Year Research-status Report
手術支援ロボットのシミュレーション規範型設計手法の構築
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24700505
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川村 和也 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50449336)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 医用ロボット / コンピュータ外科学 / 操作性評価 |
Research Abstract |
手術の対象となるヒトの千差万別な空間的制約や,対象症例によって使用する術具の設置可能な条件等の施術環境に対応するため,本申請では,機構設計の段階に操作性評価を含めた手術支援ロボットの設計開発手法の構築を目的としている.本年度は,把持動作・針掛け動作・縫合動作に着目し、手技タスクを一貫したプロセスとして評価可能なシステムへと機能拡張と,タスクベースの定量的操作性能評価手法の構築に向けた最適化条件の基礎的検証実験を実施した. 本シミュレータにおいて,手術手技やタスクを行った際の挙動を元に評価する手法を構築するため,左右のアームを用いた協調動作が必要となる.そこでこれまでそれぞれのアームでのみタスクの実施が可能であったシミュレータに双方のアームで複数種類の対象物を把持,移動させる機能を実装した. 次に,タスクベースの評価手法を構築するため,機構の最適化を検証する基礎実験と,操作者における負担を計測する手法の検討を実施した.前者については,鉗子先端部の屈曲関節に着目し,針掛け動作時における針の刺出点での誤差と鉗子先端部の動作範囲を比較する実験を行った.結果として,屈曲関節間距離を条件とした場合に,刺出点誤差は距離が長くなるほど改善されるのに対して,動作範囲は増加する結果となった.このことは,先端部操作時における視認性を,動作範囲を拡大することで改善させたためと考えられる.手術手技の精度や成果を改善することのみ着目した機構設計では,使用する空間的制約から受ける影響が見えにくいことが示唆された.後者については,ロボットの評価として操作者への影響を評価する指標の検証ならびに手法構築に向け,実機を用いた操作時における操作者の挙動を計測した.現在は定性的な段階であるが,操作する姿勢に応じてその挙動は異なることが示唆されており,これを定量的に示すパラメータの検討をすすめている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,動作性能と操作性能の両側面からの評価を可能とする開発プロセスの構築に向け,複数種類の物体を把持し,左右のアームでの協調動作機能を実装し,最適化設計に向けた検討実験を開始している.さらにロボット機構の評価パラメータの検証を行うとともに,操作者側に着目した指標の検討を行った.その結果として,タスク毎に最適な機構が存在することが示唆され,それは操作を実施し,その解析結果に基づいて得られることを確認した.また,実機操作時の操作者の挙動計測を実施し,操作者にかかる負担に基づく評価指標の検討を行ってきた.上記の理由をもって,概ね順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた成果を用いて、実機の製作と評価に向けた、提案する手法の有効性を検証する。シミュレーション環境における動作と実際に製作した機器を用いた場合の動作を比較・評価し、生じる誤差などの要因を検証する。また、現状ではロボットの機構を中心にシステムを構成しているが、実際に動作させることを考慮すると駆動部や制御部の検討が必要になってくる。そこで、駆動部ないしは制御部の特性を検証できる機能を追加する。現状のシステムの一つの機能として実現するか、外部ソフトウェアの利用による補填機能として実現するかなどを含めて検討を行う. 手技ごとに複数の医師に操作してもらうことで、同一の作業タスクに対する個人差の検討を進める。この実験ならびに評価を通じて、ロボットを操作する医師によって使いやすいと感じる設計パラメータにバラツキが生じることが予測される。執刀する医師にとってもっとも適した機構パラメータを算出するとともに、このバラツキに対しても対応することを目指す。結果として、開発を想定する手術支援ロボットをすべてテイラーメイドとして製作するか、個々の要望に応じて実機の機構条件を調整可能な自由度を設けるかなどを含め検討を進めていく。また、同時に特にバラツキが生じやすい部位に関して、その要因を詳細に検討し、手技を実施した際の軌跡などとの関係性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実機を想定した駆動部ならびに制御部の特性を検証できる機能の追加に向けた機器の購入ならびに,実機開発に必要な資材の購入,ならびに制作費として使用する.また,評価手法構築に向けた検討を進めるために,実験協力者となる医師に操作を行ってもらう実験を実施するための機器運送費等に使用する.その他,これまで得られた成果を報告するための論文制作費等に使用する.
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