2012 Fiscal Year Research-status Report
体幹部粒子線治療高精度化のための、超高速体内位置取得アルゴリズムの開発
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24700513
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
森 慎一郎 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, チームリーダ- (60415403)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 粒子線治療 |
Research Abstract |
臓器、腫瘍の呼吸性移動の定量化の結果をもとに、計算機上で呼吸を行う人体モデルを用いて、腫瘍位置同定アルゴリズムの開発を進めた。様々な腫瘍位置、臓器移動・変形、体型、呼吸パターンなど、実際の患者で想定される状況をシミュレートし、様々な状態の患者に適応できるアルゴリズムの基礎構築を進めた。腫瘍位置を把握するための金属マーカを体内に設置した場合と、本件におけるマーカレスによるトラッキングによる、腫瘍位置取得精度を比較し、マーカレストラッキングの精度向上を計った。 放射線治療ビームを患者に照射している間、トラッキング時のDFPD画像取得のためのX線照射することが必要となる。X線被ばく量を下げることは、患者への侵襲性を低減させることにつながるが、一方、DFPDの画質劣化によるトラッキング精度低下にもつながる。そこで、これに対応する画像処理方法を確立し、トラッキング精度を保ちつつ、X線被ばく線量低減方法の開発を行った。 当施設に研究用に設置されているX線発生器を用いて、X線照射、画像取得を行い、トラッキング計算への画像データ転送を可能とするシステムを構築した。 また、動態ファントムを用いて、トラッキングアルゴリズムの動作確認、撮影を行い、実データによるアルゴリズムの最適化、制御方法の最適化を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した内容についての評価を、学会や論文として発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
*)制御方法の検討 より高精度に体内位置情報を取得するには、計算アルゴリズムの最適化だけではなく、動画像対応フラットパネル2次元検出器(Dynamic flat panel: DFPD)による画像取得、X線照射のタイミングも大きく影響する要素である。リアルタイム性を追求するほど、より正確な各機器の制御が重要となり、これの検討を進める。当施設で行われている粒子線治療時の治療ビーム照射時間を調査し、トラッキングによるX線被ばく線量の測定を行う。より実際に近い測定を行うため、人体ファントム中に、ガラス線量計を挿入し、臓器線量と皮膚線量を測定する。体内の呼吸性移動を詳細に取得するためには、短時間間隔でX線を照射しDFPD画像を取得することが必要となる。その反面、患者へのX線被ばく線量が増加することが予想される。呼吸同期照射の場合、呼気相近辺の体内情報が特に必要である。患者体表面の動きから呼吸位相を取得することは可能であるが、上記目的欄で述べたように、体表面の動きと体内腫瘍の位置は、必ずしも相関性が高いとは限らない。そこで、体内トラッキングで取得される体内データから、吸気相の腫瘍位置では、X線照射間隔を減少させ、呼気相に近づくにつれてX線照射間隔を増加させるフィードバック機構の実装を行う。 *臨床画像データによる評価 当施設の病院に設置されているX線撮影装置を用いて、当施設入院患者の動画像を取得し、トラッキングアルゴリズムの評価を行う。患者データの場合、必ずしもトラッキング計算を行いやすい画質を取得できるわけではない。また、呼吸パターンも一定ではなく、患者により多種多様な状況が想定される。どのような状態の患者にも限定されない、トラッキング装置の構築を進め、将来的に実際の放射線治療プロトコルに適応できるシステム構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
臨床データを用いた評価を行うための、解析環境の整備並びに、これらの成果発表のための旅費使用する予定である。
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