2012 Fiscal Year Research-status Report
重粒子線治療における照射領域可視化画像を用いた生理機能定量測定に関する研究
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24700514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
平野 祥之 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 博士研究員 (00423129)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / PET / 動態解析 / In-beam PET / コンパートメントモデル |
Research Abstract |
当研究グループで開発された開放空間においても撮像可能なOpenPETを用いて、ラットへのC-11ビーム照射直後からの時間放射能曲線の解析を行った。小型試作機である2リングによるSmall OpenPETで撮像したラット2匹、また次世代のOpenPETととして1リングでも開放空間の撮像可能なsingle-ring OpenPET小型試作機を用いてウサギ(1匹)およびラット(2匹)の脳への照射の解析を行った。C-11を照射してから生理的影響により洗い出しされる速度を核医学の動態解析で用いられるコンパートメントモデルを用いて算出した。ここではC-11は直接組織に入射したとし、通常動脈と組織の移行係数であるK1はゼロとし、瞬時のボーラス投与と仮定した。過去の文献にあるウサギにC-11を照射した実験から何か二種類以上の化学形をとり、異なる速度で洗い出しされたとして解析されていることから、本研究でも中間速度の洗い出しとしてk2m、遅い速度の洗い出しとしてk2sがあるとして、コンパートメントモデル解析を行った。その結果、平均の洗い出し速度は、ラット(N=4)では、k2m=0.54 min-1、k2s=0.011 min-1、ウサギ(N=1)ではk2m=0.74 min-1、k2s=0.012 min-1であった。このk2mはH2-15Oによる脳血流測定で得られた洗い出し速度(k2)に近い値であることから、C-11の洗い出しも血流に依存するものではないかと考えられる。一方でC-11がCO2になったと仮定し、過去のCO2を用いた犬の脳のpHマッピングで用いられた2コンパートメントモデルを採用して解析を行った結果、k2およびk3(コンパート間の移行係数)とも過去の文献の値と同程度の値が得られた。このことより11CO2になったことが示唆されたが、今後はC-11の化学形を調べることが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル解析についてはシミュレーションも行い、解析の精度等についても十分検討した。さらに時間放射能曲線を得るにはOpenPETの再構成画像からROIをとって作成するが、そのROIの値の精度についても十分検討を行った。このことから本研究で用いたコンパートメントモデルの特性については十分把握できてたといえる。モデル解析が本研究のメインテーマであり、モデル解析の確立は、研究が順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットの脳への重粒子照射実験において、照射されたC-11の化学形を決めることが、その洗い出しから生理的情報を得るために必要となる。当該年度の結果から、C-11の洗い出しは血流を反映しているのではないか、あるいはC-11を含んだCO2ができていることが示唆された。そこで次年度の主な研究としては、ラットにダイアモックス等の脳血流を増加させた状態と安静状態とで、C-11の洗い出し速度が変化するか確認する実験を行う。もし違いが観測された場合、N数を増やすことで統計的有意差が得られるよう実験を繰り返す。一方で水に照射した後、C-11がどのような化学形になっているかを決める基礎実験を行う。はじめはCO2になったと仮定し、放射性CO2を照射水から分離するためのシステムを構築しその検出を試みる。また量子化学計算を応用することで、計算科学からその化学形の予測も試みる。主とした実験は次年度に終了させる予定であり、次々年度は結果を論文等にまとめる。一方で積極的に学会等に参加し結果を公表する。もし前年度の実験に不備等があれば、補足実験を行う。また前年度の実験から新たな知見が得られた場合(例えば、CO2以外の化学形がメインだった場合)それを検証する実験等を計画および実行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画としては、主に照射したC-11ビーム量を測定するための検出器(プラスチックシンチレータと光電子増倍管)を購入する予定である。またC-11の化学形を決める実験においても、例えばCO2の吸着剤であるアスカライトとカラム等の化学用品が必要になる。またここでも吸着したCO2にC-11が含まれているかを調べるための放射線検出器を準備する予定である。最後に、モデル解析やC-11以外の陽電子放出核種の生成量を計算するためのコンピュータおよび、研究成果の発表、情報収集のための旅費に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)