2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700517
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
藤田 俊文 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (60431441)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 全身振動刺激 / 筋循環・代謝 / 筋機能 / 酸化ストレス / 血糖値 / 乳酸 / 近赤外線分光法 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
全身振動刺激(WBV:Whole body vibration)を用いた運動時の代謝機能へ与える影響について、酸化ストレスや乳酸値、血糖値といった指標を用いて検証した。また、本研究では抗酸化能が高いと言われているカシス抽出物の粉末カプセル摂取時(カシス摂取)の影響について、プラセボ対照二重盲検試験(群間比較試験)にて検証した。対象は健常成人20名であり、カシス摂取群10名、プラセボ群(乳糖カプセル摂取)10名に無作為に振り分けた。運動はWBV機器を用いて、自覚的運動強度Borg指数17(かなりきつい)を運動中止基準として実施した。評価項目は、d-ROMs(酸化ストレス指標)、BAP(抗酸化能指標)、潜在的抗酸化能(BAP/d-ROMs比)、血糖値、乳酸値とした。採血は、カプセル摂取1時間後(運動前)、運動直後、運動後60分の時点で実施した。 結果として、両群とも運動前よりも直後で酸化ストレス、抗酸化能、乳酸値が有意に上昇した。また終了後60分では両群とも酸化ストレス、乳酸値が安静時と同程度まで回復する傾向を示したが、抗酸化能においてカシス摂取群では運動前と同程度となり、プラセボ群では安静時よりも有意に低値を示した。潜在的抗酸化能においては、カシス摂取群で運動前と運動直後で有意な上昇が見られ、運動後60分で運動前と同程度の値となったが、プラセボ群では運動前と運動直後で有意差は見られず、運動後60分で有意に低値を示した。血糖値はカシス摂取群で運動直後に減少する傾向を示したが、両群とも統計学的な有意差は見られなかった。 運動負荷による生体反応として酸化ストレスが上昇し、同時に酸化ストレス軽減のために抗酸化能が上昇することは知られている。本研究結果でも同様の傾向を示したが、カシス摂取群で運動後の抗酸化能の過剰な減少が抑制されている結果となり、これは潜在的抗酸化能の結果からも示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題では全身振動刺激を用いた運動時の筋循環・代謝機能を中心に検証し、当初の目的では脳卒中患者を対象としたデータ収集を進めている予定であったが、研究環境や機器の不備などが重なったため健常者を対象としたデータ収集に方針を変更した。 そのため、平成26年度では健常成人を対象に運動負荷時の代謝機能について検証した。特にWBV特有の外的刺激時の生理学的な反応として、酸化ストレスやそれに付随した抗酸化能の測定、また血糖値や乳酸値といった運動生理学的な一般的な評価を実施した。加えて、酸化ストレスを軽減すると言われているカシスに注目し、プラセボ対照二重盲検試験(群間比較試験)を実施することでより運動生理学的な特徴を明らかにすることが出来たことは成果として評価できた。 しかしながら、研究成果の報告(論文など)まで至らず、年度内に研究を終了することが出来なかった。そのため、やや遅れていると判定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、脳卒中患者の臨床データ収集をすすめる予定であったが、WBV実施時の運動生理学的特徴として代謝機能を十分理解する必要性があったため、健常成人を対象としたデータ収集へ方針を変更した。前述のようにWBV実施時の酸化ストレス等の代謝機能の解明に加え、抗酸化機能の高い食品を摂取した際の運動生理学反応を観察出来た点は本課題において重要な成果であった。WBV実施時の運動負荷量を、生理学的な指標から定量化できる可能性が見いだせたことから、今後も同様の視点でより詳細に検討することが重要と考えている。そのためにもこれまでの研究成果を報告し、より深い議論を進めていく必要があると考えてる。
|
Causes of Carryover |
平成26年度では、筋循環動態測定に使用していた組織酸素化モニター装置に不測の故障が生じたため、当装置の修理・調整が必要となり、全身振動刺激実施時の循環動態測定の実験再開までに約2ヶ月間を要した。そのため、予定していたデータ収集の変更が余儀なくされた。研究計画の方向を変更し、健常成人を対象としたWBV実施時の代謝機能を中心に検証することとし、そのデータ収集は終了したが、その後の成果発表や論文作成に遅延が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
全身振動刺激実施時の循環動態測定のデータ収集の継続、これまでに得られた研究成果の発表および論文作成を中心に未使用額をその経費にあてる予定である。
|
Research Products
(1 results)