2012 Fiscal Year Research-status Report
加齢による肩甲骨周囲筋の形態的および機能的変化と肩腱板断裂の関係
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24700519
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村木 孝行 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (50404778)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 腱板断裂 / 加齢 / 筋厚 / 筋活動 / 超音波診断装置 / 表面筋電図 |
Research Abstract |
本研究の目的は肩甲骨周囲筋群の量的評価(筋厚)と質的評価(筋電図)を各年代の健常者で行い、どのような加齢変化が起きるのか、また加齢によって変化した筋機能は腱板断裂症例の筋機能とどの程度類似しているのかを詳細に調べることである。肩腱板断裂は若年者でも発症するが、中高年者なると発症率が急激に増加する。この腱板断裂は疼痛、筋力低下、関節可動域低下などの症状がみられ、日常生活を阻害する疾患である。腱板断裂は退行性変性や外傷により起こるとされており、近年の研究により肩甲骨周囲筋(特に僧帽筋・前鋸筋)の弱化が、筋活動の低下やバランス異常を引き起こし、正常な肩関節機能に影響を与えることが明らかになっている。このことは、上肢拳上時に肩峰下面と腱板が圧迫・摩擦ストレスを受ける現象である肩峰下インピンジメントの一要因となり、腱板断裂の原因となりうることが考えられる。また一般的に筋機能は加齢とともに低下することが分かっている。しかし、肩甲骨周囲筋機能の加齢変化についてはいまだ不明であり、腱板断裂の発症率と関係している可能性がある。今回得られる結果は腱板断裂症例において、肩甲骨周囲筋の筋力低下や弱化が加齢によるものなのか、それとも腱板断裂によるものなのかと、障害と関係性を理解する上で有益な情報となり、また量的変化や質的変化が起こりやすい年代や特性が分かれば、腱板断裂予防のための介入時期の指標や、各年代の腱板断裂症例のリハビリテーションにおける肩甲骨周囲筋機能の指標となり、リハビリテーションでのアプローチに貴重な情報になると考えられる。平成24年度は、健常成人30名、腱板断裂患者2名の計32名の筋厚、筋活動の計測を終了している。平成25年度は残り約50名の計測を継続して実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腱板断裂患者の募集と、中高年男性の募集に難航しているため。平成25年度は募集範囲を拡大して対応していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究の達成度がやや遅れているため、被験者の募集範囲の拡大等の対応を実施する。また得られたデータは早急に解析を行い、学会発表、論文投稿等の情報発信を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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