2013 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲刺激により誘導される脊髄の可塑性~脊髄損傷者の運動機能回復を目指して~
Project/Area Number |
24700520
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小幡 博基 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (70455377)
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Keywords | 脊髄 / 可塑性 |
Research Abstract |
ヒトの中枢神経系には可塑性があり,これが近年の運動機能障害者を対象としたニューロリハビリテーションの理論的基盤となっている.本研究では,末梢からの感覚入力の繰り返しにより生じる脊髄の活動依存可塑性(activity-dependent plasticity)について,その神経機序と効果的な誘導方法を調べることを目的とした. 本年度は健常者を対象に,(1)ロボット型歩行補助装置を用いた受動ステッピングにより生じる感覚入力,(2)末梢神経を電気刺激することにより生じる感覚入力,(3)両者の組み合わせが脊髄神経回路に与える影響を調べた.(1)から(3)までの介入を30分間行い,その前後においてヒラメ筋のH反射(H-reflex)および前脛骨筋-ヒラメ筋間の脊髄相反性抑制(reciprocal inhibition: RI)を電気生理学的手法により評価した. その結果,(1)および(2)の介入前後でH-reflexやRIに変化は認められなかった.一方,(3)の介入ではRIに変化が生じた.受動ステッピングの遊脚期において,総腓骨神経に十分な背屈が生じる強度で電気刺激を与えた条件では,介入後のRIの抑制量が介入前に比べて有意に減少した.また,受動ステッピングの遊脚期において,総腓骨神経に前脛骨筋の運動閾値の強度で電気刺激を与えた条件では,介入後のRIの抑制量が介入前に比べて有意に増大した. 本研究の結果は,末梢入力により脊髄に可塑性を引き起こすためには複数の経路からの入力が効果的であること,また、可塑的変化がどのように起こるかは末梢感覚の入力の強さによって決定されることを示唆するものである.
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Research Products
(1 results)