2012 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症における機械的刺激の効果に関する生化学的解析
Project/Area Number |
24700531
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
熊岸 加苗 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (10597892)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 変形性膝関節症 / リハビリテーション / ヒアルロン酸 / CTXII / 運動機能 |
Research Abstract |
変形性膝関節症(OA)の治療には、ヒアルロン酸(HA)の関節内投与による薬物療法、リハビリテーションによる運動療法が主に行われるが、薬物療法と運動療法を併用した場合の効果の検討はほとんどない。そこで、通常の運動療法に、HA関節内投与および荷重立位前後揺動刺激を併用した場合の治療効果について、OA患者を対象に運動機能測定や関節軟骨損傷度測定を行い比較検討した。 外来受診OA患者を①~④の治療群に振り分けて、治療開始前と1か月後に評価を実施;①運動療法 ②運動療法+HA(スベニール;中外製薬, 2.5ml/w)③運動療法+揺動刺激(シェイキングボード;オージー技研GB-700, 15min×2~3/w)④運動療法+揺動刺激+HA その結果、初期評価時と1か月後の時点において、下肢筋力の改善効果に群間での有意差はなかった。揺動刺激治療群(③, ④)においては、実施していない群(①, ②)と比べ、関節可動域は有意に改善していた。特に関節の形態変化が進行していない群(Kellgren-Lawrence分類, stageI, II)において、進行群(stage III)と比べ、揺動刺激後、有意にTUGの改善がみられた。また、HA投与群(②,④)においてCTXIIが有意に低下していた。 以上の結果より、揺動刺激は、運動機能の回復に効果があると考えられ、特に関節形態変化が進行していない人に対してより改善がみられることがわかった。一方、II型コラーゲンの分解産物ついては、HA投与群において有意に低下していた。このことから、運動療法と薬物療法を併用した場合、運動機能の回復かつ関節軟骨破壊の抑制の両効果が期待でき、同併用療法は臨床上有効な治療法であると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外来受診OA患者を①~④の治療群に振り分けて、治療開始前と1か月後に評価を実施しているが、(①運動療法 ②運動療法+HA ③運動療法+揺動刺激 ④運動療法+揺動刺激+HA)、患者からの研究協力への同意も得られ、順調に遂行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
整形外科受診の変形膝関節症患者を対象に、同意を得られた方のデータ取りを行い、その結果をもとに統計学的解析を行っている。そのため、今後研究協力患者の数を増やし、より精度の高い統計結果を得られるように引き続き解析を続けて、今後の研究に繋げていきたい。ヒアルロン酸の関節内投与をした場合の効果について解析を進め、国内・海外の学会等で発表をしていきたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入予定であった備品(測定機能付運動訓練装置、シェイキングボード)については、研究機関中のデモ機の使用が可能となったため、次年度使用額が1,768,599円生じた。 次年度使用額(1,768,599円)と本年度の助成金(800,000円)については、使用予定の試薬や物品、統計処理に使用するソフトウエアの費用に充てていきたい。また、研究結果の学会発表、論文投稿の費用としても使用していきたい。
|