2012 Fiscal Year Research-status Report
吃音児者のQuality of Life向上を目指した総合的な吃音評価法の開発
Project/Area Number |
24700534
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川合 紀宗 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20467757)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 吃音 / 包括的アセスメント / 多面的モデル |
Research Abstract |
今年度は、米国版CALMS アセスメントツールの開発に携わり、評価項目の選定や、臨床家向けマニュアルの策定、CALMS アセスメントツールの信頼性及び妥当性の検討などの作業を行った。ただし、米国版CALMS アセスメントツールで用いられている項目の一部は、我が国の文化では受け入れにくい箇所があるほか、吃音検査法<試案1>や改訂版吃音検査法など、我が国で独自に開発されている吃音症状評価ツールも存在する。そこで、今回開発予定の吃音総合アセスメントツールが我が国で広く受け入れられるために、文化的背景の相違を考慮し、従来より使用されてきた評価ツールを吃音総合アセスメントツールの一部として位置づけるなどの検討を行った。また、他の多面的モデルで使用されている評価項目や小林(2010)で使用されている項目の検討については、CALMS モデル以外の多面的モデルであるA Component Model (Riley & Riley, 2000)、Comprehensive Stuttering Program for School-Age Children (CSP-SC; Langevin, Kully, & Ross-Harold, 2007) 、Comprehensive Treatment for School-Age Children Who Stutter (CT-SCWS; Yaruss, Pelczarski, & Quesal, 2010)及び国際機能分類(ICF)に基づく学齢期吃音評価(小林,2010)で使用されている評価項目を調べ、吃音総合アセスメントツールに組み込むことが可能な項目を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、他の多面的モデルで使用されている評価項目や小林(2010)で使用されている項目の検討として、先述したとおり、CALMS モデル以外の多面的モデルであるA Component Model (Riley & Riley, 2000)、Comprehensive Stuttering Program for School-Age Children (CSP-SC; Langevin, Kully, & Ross-Harold, 2007) 、Comprehensive Treatment for School-Age Children Who Stutter (CT-SCWS; Yaruss, Pelczarski, & Quesal, 2010)及び国際機能分類(ICF)に基づく学齢期吃音評価(小林,2010)で使用されている評価項目を調べ、吃音総合アセスメントツールに組み込むことが可能な項目を探索した。この検討についてはCT-SCWS の作者である米国ピッツバーグ大学のScott Yaruss准教授や学齢期吃音評価の作者である金沢大学の小林宏明准教授らからの協力を得ながら実施することができた。また本研究に関連する成果として、コミュニケーション障害分野ではインパクト係数の高いJournal of Communication Disordersに原著論文が掲載されるなど、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。ただし、昨年米国版CALMSアセスメントツールが完成したが、マニュアルが予定よりも長くなったことから、来年度はその翻訳を行うなど、当初予定外の作業が入ることになっており、高い達成度を維持させるために、翻訳補助者を雇用するなどの工夫が必要になると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に実施された研究によって精選された評価項目や評価ツールを、CALMS モデルに基づく多面的モデルの概念[C=Cognitive (認知・知識面), A=Affective (感情・態度面), L=Linguistic (言語能力), M=Motor (口腔運動能力), S=Social (社会性・社交性)]に組み込み、吃音に対する知識・自己認知の程度、吃音に対する態度や感情、全般的な言語能力、口腔運動能力、社会性・社交性を総合的に評価する吃音総合アセスメントツール試案の開発を行う。加えて、昨年度発売された米国版CALMS アセスメントツールのマニュアルの翻訳を行ったり、昨年度に引き続き、日本の文化に応じた包括的評価ツールを開発するために、項目の一部変更や日本独自のアセスメントツールの適用を試行する。試案の開発にあたっては、作成したアセスメントツールの信頼性及び妥当性を検証するためのパイロット研究を行い、その結果に基づき、最終確定版を作成する。検証にあたっては、アセスメントを実施する言語聴覚士及びことばの教室担当教員、それから吃音当事者の協力を得る予定である。パイロット研究への協力者は、言語聴覚士やことばの教室担当教員、吃音当事者、非吃音者(計20 名)を想定しており、研究代表者が居住する広島県内で募集する。パイロット研究で収集したデータの整理・分析には、パソコンを用いた統計分析システムを使用する。本研究により、更なる評価項目の精選を行い、最終版の完成に向けた最終調整を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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