2013 Fiscal Year Research-status Report
機能的MRIを用いた膝前十字靱帯損傷患者の大脳固有感覚ネットワーク再構築の研究
Project/Area Number |
24700535
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平田 和彦 広島大学, 大学病院, 理学療法士 (10423352)
|
Keywords | 膝前十字靱帯 / 脳機能活動 / 固有感覚 |
Research Abstract |
膝前十字靱帯(ACL)は、その靱帯内に固有感覚受容器を有しており、損傷すると感覚受容器からのフィードバックが減少し固有感覚が低下すると考えられている。しかし、近年ACL損傷患者の脳機能活動の計測により、靱帯損傷後に中枢神経の再編成が起こることが報告されている。このような脳活動の変化は損傷後の運動制御に関わる可能性があり、ACL損傷後・再建術後のリハビリや損傷予防に影響を及ぼす可能性がある。よって本研究の目的は、ACL損傷患者の固有感覚と脳機能活動の変化、運動制御パターンの関連を明らかにすることで、ACL再建術後の固有感覚回復機序の解明や運動パフォーマンスの向上に関する膝固有感覚の寄与を検討することである。 今年度は、健常者とACL損傷患者の固有感覚測定と着地動作の三次元動作解析、筋力、膝不安定性、バランス測定などを検討した。その結果、ACL損傷患者が可能な着地動作の決定やより信頼性が高いマーカーセット等が決定できた。動作解析結果より、ACL損傷患者は着地時により健側への荷重が大きく、患側膝屈曲角度が減少し、患側膝外反角度が増大していることが明らかになった。しかし、健常者の中にも大きな膝外反角度を生じる症例も認めた。今後、これらの運動制御パターンの変容と脳機能画像の結果を合わせて検討することで、固有感覚ネットワークの変容・再構築がどの程度運動制御に影響するか明らかにすることが可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、運動制御パターンの評価を行う測定プロトコルの決定するために予備実験を行った。様々な評価項目や測定条件を試行し、健常者とACL損傷患者の両者が実施可能な測定課題を決定した。また、動作パターンが詳細に観察可能なマーカーセットを数種試行し、最終的にPoint Cluster法で動作解析を行った。 本年度は、ACL損傷患者と健常者の動作パターンに差が生じる課題の設定や測定項目の決定のため予備実験を繰り返し行ったことが、当初の研究計画より遅れた原因であるが、ACL損傷による影響を確認するためにこれら課題の調整は重要な作業であったと認識している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度決定したパフォーマンス評価項目に合わせて、脳機能画像の撮影を健常者、ACL損傷者ともに実施していく。パフォーマンス評価と脳機能画像の結果を統合して、運動パターン変化の原因を特定していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、パフォーマンス評価、特に動作解析の測定方法の選定を主に行ったため、脳画像解析の進展に遅延が生じた。 本年度は、脳機能画像解析に必要な専用PCと解析ソフト購入を行う。さらに、被験者に対する謝礼と協力施設への施設利用費に使用する。必要な書籍やデータ保存に必要な雑費を請求する。また、情報交換のため当該研究領域への参加や得られた結果の発表を行うため旅費として使用する。また、論文の作成費としても使用する。
|