2013 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病診断のためのアイコンタクト計測システムの開発
Project/Area Number |
24700536
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
瀬島 吉裕 山口大学, 理工学研究科, 助教 (40584404)
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Keywords | ヒューマンインタフェース / ヒューマンインタラクション / ノンバーバルコミュニケーション / 視線計測 / アイコンタクト |
Research Abstract |
本研究では,(1)アイコンタクト計測システムの開発,(2)アイコンタクトの客観指標化の検討を進めた. (1)では,アイコンタクトを非接触で計測することを目的として,対話者間に仮想ディスプレイとなるダイクロイックミラーを設置し,このミラーを介してコミュニケーションが行えるシステムを開発した.ダイクロイックミラーは,可視光を透過し,赤外線を反射する特性を有しており,このミラーから反射された赤外線画像から注視点を計測することで,対話者間のアイコンタクトを推定することができる.アイコンタクトの推定は,まずOpenCVを用いて画像処理による目領域の検出を行った.次に,磁気センサ計測による頭部の位置・角度データに基づいて仮想ディスプレイ上の注視点を算出した.その後,先行実験によりアイコンタクトしていると認識できる領域内に両者の注視点が存在する場合は,アイコンタクトしていると判定し,一方でも注視点が領域外に存在する場合は,アイコンタクトしていないと判定した.このシステムを用いてコミュニケーション実験を行った結果,「視線の合いやすさ」が向上する等,システムの有効性を確認した. (2)では,これまで開発してきた視線計測デバイスを用いて対面コミュニケーション時のアイコンタクトの客観指標化を検討した.具体的には,仮想ディスプレイを対話者間に設置し,仮想ディスプレイの有無による注視点の分布を解析した.実験協力者は健常な男女学生10組20人であった.その結果,仮想ディスプレイが存在しない場合は,対話者の視線が広域に分布するのに対して,仮想ディスプレイを配置した場合は,仮想ディスプレイを中心に視線が集中しやすくなる傾向があることを示した.うつ病等の気分障害者は,視線が下方に向き気味であることが報告されていることより,アイコンタクトの客観指標化の可能性を示唆した.
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