2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700537
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻口 友美 (中間友美) 九州大学, 大学病院, 研究員 (00423559)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 構音障害 / 語音弁別 / 音響分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
口蓋裂患者における構音障害の改善が困難な原因として、経験的に語音弁別能の関与が考えられている。臨床の場では経験的に異常構音と語音弁別能の関連性が観察されているが,口蓋裂患者の異常構音と語音弁別能に関する研究報告は少ない。そこで申請者は異常構音を有する口蓋裂患者の異常構音残存と語音弁別能との関連性について研究を行い、構音障害が改善しない口蓋裂患者では、正常構音に対する語音弁別能については問題ないが、患者自身の声に対する語音弁別能が低いために、自分の異常構音を自覚することができず、そのことが構音の改善を困難にしている可能性があることを報告した(中間(辻口)友美ら,日口蓋誌,2010)。前述の背景から、本研究では先行研究をさらに進め、異常構音を有する患者が言語療法を経て正常構音を獲得する過程で、語音弁別能がどのように変化するのか、またその変化をより客観的にまた視覚的に捉えるために、音響学的比較を行った。その結果、正常構音を獲得した症例は内的語音弁別を獲得しており、異常構音が残存している症例では、依然内的語音弁別能を獲得できない症例を認めることから、患者自身の産生する音声に対する内的語音弁別能が低いことが、構音障害の改善を困難にする原因のひとつと考えられた。また音響学的推移をみると、正常構音を獲得する過程において、周波数は次第に高くなり、分布範囲も広がっていた。内的語音弁別能が低いと、正常構音の獲得は困難と予測される。自分の異常構音を聴覚的に自覚する視覚的フィードバックとして、音響分析を行い、周波数のピーク値の推移を用いることもひとつの手段と考えられる。音響分析は評価法として比較的簡便で、安全な方法と思われる。今後も症例数を増やし、治癒過程の違いの特徴や言語療法の方法との関連についても検討を行いたい。
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