2012 Fiscal Year Research-status Report
力学的ストレスの違いが,筋腱複合体および骨接合部(エンテーシス)に及ぼす影響
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24700545
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
国分 貴徳 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (10616395)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Enthesis / メカニカルストレス / 遠心性収縮 / 炎症性サイトカイン / 血管新生因子 |
Research Abstract |
本研究は筋骨格系の発育が不十分な幼若ラットを対象として、異なるメカニカルストレスが付加される運動を行わせ、筋の収縮様式の違いが、筋腱およびEnthesis部に及ぼす影響を組織化学的・生化学的に解析・解明することを目的としている。今年度は、モデルラットの作成を行い、その後組織学的解析および生化学的解析の予備実験を行った。 今年度の主な成果としては、遠心性収縮モデルとしたラットDoen-Hill走行群と、旧新生収縮モデルとしたUp-Hill走行群の間で、膝蓋腱および膝蓋腱の後方に存在する膝蓋下脂肪体における炎症関連物質の生化学的解析を行った。対処とした因子は、炎症性サイトカインであるInterleukin-1-beta(以下IL-1β)、血管および新生因子:vascular endothelial growth factor(以下VEGF)の二つであったが、Down-Hill走行群の膝蓋下脂肪体において、炎症性サイトカインIL-1βのmRNA発現量が、Up-Hill走行群、Level走行群と比較して、約2.5倍の増加を示していた。 膝蓋下脂肪体は臨床における炎症好発部位であり、今回遠心性収縮を付加したモデルにおいてのみ炎症を示すマーカーの増加傾向が観察されたことから、遠心性収縮により生じるメカニカルストレスは、腱およびその周囲組織に炎症を惹起しやすい傾向があるという可能性が示唆された。このメカニカルストレスが、健-骨移行部であるEnthesisに及ぼす影響については、現在組織学的解析を進めている状況である。また、その他の関節における影響についても、現在解析を進めており、次年度以降に報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験開始当初、本研究のモデルは全く新しい運動介入モデルであるため、トレッドミルの角度やその角度変化に伴うトレッドミル速度の設定について試行錯誤を行ったため、解析を開始するまでに当初の予定より時間を要した。その後、条件設定が確定し、解析を開始してからはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の解析結果をベースとして、今後は膝関節に加え、肩関節・肘関節・足関節についても同様の解析を進めていく予定である。また、当初の計画通り検索因子を今後増やし、多方面からの解析を行っていく予定である。対象サンプルはすでに採取しているため、次年度の前半までには保有サンプルの解析を終え、その結果をもとにモデルの改編や検索因子を追加し解析を行っていく。また、生化学的解析と組織学的解析の双方の結果をリンクさせながら、有意な発現の増加がみられた因子に関しては、その局在を明らかにするため免疫染色および免疫蛍光染色を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、今後対象となる因子の抗体やプライマー、およびそれらの解析に必要な試薬等の消耗品の購入を予定している。また、研究成果を広く国民、および世界へ発信していくため、学会発表の旅費や論文投稿の費用等に支出予定である。
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Research Products
(1 results)