2012 Fiscal Year Research-status Report
「息切れ」に対して呼息時低周波電気刺激は有効か:慢性閉塞性肺疾患への展開
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24700547
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
伊藤 健一 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30342223)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 低周波電気刺激 / 換気機能 |
Research Abstract |
本研究の目的は,「動的肺過膨張」と「在宅での導入のしやすさ」を考慮した「呼息時低周波電気刺激」の効果を解明し,新たな機器開発に繋げることである。この目的を達成するために,H24年度は安静時における「呼息時低周波電気刺激」の効果を解明することが当初の計画であった。しかし,研究の方法を変更することにより,安静時のみならず,運動時のデータもサンプリングすることができた。H24年度に実施した研究の概要は以下の通りである。 【目的】本研究の目的は,高齢COPD患者に対する呼息時低周波電気刺激(以下EES)の効果を,安静時および運動時の換気機能に着目し検討することである。 【方法】本研究の計画にあたり,倫理委員会の承認を得た。また対象者からは研究参加の同意を得た。対象は呼吸器内科に掛かっている高齢COPD患者24名である。安静5分,エルゴメータによる運動5分(30%強度の定量負荷),リカバリー5分の計15分からなるプロトコルでのベースライン測定後,無作為に割り付けたプラシーボ群と EES介入群とで同プロトコル遂行中の分時換気量,1回換気量,呼吸数,各呼吸時間,Borgスケール,経皮的酸素飽和度を比較し,安静および運動中のEESの換気機能等への影響について検討した。 【結果】安静時,運動時ともにEESの介入群で1回換気量が有意に増大し,呼吸数が有意に減少した。さらに同群の安静時および運動時の各呼吸時間も有意に延長した。 【考察】今回のEESの効果は電気刺激強度から考えて,バイオフィードバックによる呼気延長に由来するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「呼息時低周波電気刺激」の介入効果が鋭敏に表れたため,当初見積もっていたサンプル数よりも,少ない数での検証が可能であったことと,予想以上に協力施設(病院)の協力が得られたことが本研究が順調に進展した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の研究では「呼息時低周波電気刺激」を行うことで,換気の効率が改善することが明らかとなった。しかしながら,現段階ではこれらの効果が得られたメカニズムが明らかではない。そのため,「呼息時低周波電気刺激」をこれまでとは全く異なる部位に行うコントロール群を用意し,H24年度研究の介入群と換気に関するパラメータを比較することで「バイオフィードバックの効果」,あるいは「治療的電気刺激の効果」のいずれかを断定,解明する。この解明によって,より有効な低周波電気刺激の導入法が明らかになることが期待でき,新たな呼吸リハビリテーションの確立に繋がるものと思われる。これらをH25年度の研究目的とし,研究を展開していく予定である。 実験方法や対象者の確保等については,これまでと大きく変わらないため,これまでと同様の研究の展開が見込まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験は順調に進んでいるため、次年度は電極などの若干の消耗品の購入と、研究成果の発表(国際学会と日本での学会参加に関わる交通費と宿泊費)と、論文作成(校正等)のための支出が主たる使用目的となる。なお、学会発表は国際学会1件(スペイン)と国内学会2件(愛知、東京)を予定している。
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