2013 Fiscal Year Research-status Report
重度頚髄損傷者の自動車への移乗動作獲得支援プログラム開発のための基礎研究
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24700548
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
片岡 正教 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (60611910)
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Keywords | 頚髄損傷 / 移乗動作 / 自動車 / 動作解析 |
Research Abstract |
当初、平成25年度にて、研究期間は終了予定であったが、実験環境の見直し、被験者の収集不足等により、平成26年度まで延期することとなった。 ビデオカメラで移乗動作を撮影した20名の頸髄損傷者のうち、身体機能や車椅子・自動車の条件を出来る限り揃えた11名の第6頚髄損傷者について、二次元的に車椅子・自動車間の移乗動作を分析し、移乗動作に要した時間と体幹前傾角度及び股関節屈曲角度との関連性を検討した。結果、体幹前傾角度と殿部の移動時間の間に有意な相関は見られなかったが、股関節の角度と移乗に要した時間には有意な相関が見られ、移乗動作中の股関節の角度が大きいほど、移乗動作に要する時間が短いことが明らかとなった。頚髄損傷者が移乗動作を行う際には、効率的な殿部の移動のために体幹を前傾させることが重要であるとされているが、自動車という限られた空間の中では体幹の前傾をコントロールするために、股関節屈曲角度を増大させることで移乗動作を効率的に行っていることが示唆された。 上記の結果については、21th Annual Scientific Meeting of the Australasian Faculty of Rehabilitation Medicine (Sydney, Australia) にて発表をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験環境の見直し、被験者の収集等に時間を要しており、予定より達成度は遅れている。特に自動車への移乗動作に類似した環境設定を屋内で行うこと、動作解析を行う上で身体指標となるマーカーが隠れないようなカメラ位置の設定等にさらなる見直しが必要である。 また、頚髄損傷者の殿部移動は視覚的な観察ではわかりづらく、明確になりづらいため、殿部が移動している瞬間の動作をどのように確認するかについて、再度検討していく必要があり、それらを決めることに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元動作解析を行う中で、ある程度頚髄損傷者の移乗動作については基本的なデータが蓄積していると考えられるため、これらのデータを基に、今後、実験環境の見直しや、殿部移動を明確に観察できる方法を再度検討し、被験者にも再度協力を依頼する。 同時に報告書作成も行っていき、論文執筆や学会発表の準備も進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験環境の設定に時間を要したため、予備実験という形でしか被験者への協力を依頼できなかったこともあり、人件費や謝礼といった部分で計上していた予算が少し残っている。また、環境設定を考えていくうえで必要になった物品の購入等を追加で行っていったため、物品費等は当初の予定より増額したが、一方で学会発表等で必要になった旅費が予定より軽減していたため、次年度の使用額が発生した。 人件費、謝礼等については、すでに被験者や協力を依頼するアシスタントの了承を得て、ボランティアという形で参加していただくことにしているが、本助成金以外の研究として行っているテーマにも関係する部分もあるため、その研究を進めるうえでの必要経費もしくは自身の大学の基盤研究費で対応することも考えている。そのため、本助成金の残額の使用用途そしては、主に論文執筆や学会発表の旅費、もしくは環境設定を行う上での追加物品に使用することを考えている。
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