2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700551
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
大田尾 浩 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (00441345)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脳卒中片麻痺 / 車いす駆動 / 理学療法 |
Research Abstract |
脳卒中患者の約4割は,歩行が困難となり車いすに頼よらざるを得ない。本研究の目的は,脳卒中患者の車いす駆動能力に影響を及ぼす要因を明らかにすることで車いす駆動能力獲得にむけたリハビリテーション治療プログラムを検証することである。 まず,脳卒中片麻痺患者の車いす駆動の可否に影響を及ぼす要因を検討した。対象は,脳卒中片麻痺患者58名(男性35名,女性24名)とした。候補となる要因を麻痺の程度(Br. Stage),立位バランス,座位バランス,握力,腹筋力,下肢筋力,および認知機能とし,これらの要因と車いす駆動能力を評価した。車いす駆動能力に影響する要因をロジステック回帰により分析した。その結果,車いす駆動の可否に影響を及ぼす要因は,立位バランスと腹筋力が選択された。このことから,脳卒中片麻痺患者が車いす駆動能力を獲得するには,立位バランスと腹筋力が重要である可能性が示された。 次に,脳卒中片麻痺患者の車いす駆動速度に影響を及ぼす要因について検討した。対象は脳卒中片麻痺患者58名とした。測定項目は,車いす駆動速度,麻痺の程度(Br.stage),握力,腹筋筋力,腸腰筋筋力,下肢筋力,足指筋力,座位での下肢荷重力,座位バランス,立位バランス,半側空間無視,足底感覚とした。車いす駆動速度に影響を及ぼす要因を抽出するために,ステップワイズ法による重回帰分析にて検討した。その結果,車いす駆動速度に影響する因子として選択されたのは,腹筋筋力と立位バランスであった。このことから,脳卒中片麻痺患者の車いす駆動速度には,腹筋筋力と立位バランスが重要である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究にて脳卒中患者の車いす駆動能力に影響を及ぼす要因は,腹筋筋力と立位バランスの2要因に絞り込んだ。しかし,これらの要因が改善することで車いす駆動能力が改善するかを実証するには,脳卒中発症から車いす駆動能力を獲得に至るまでの経過を縦断的に追跡する必要がある。現在,前向きコホート研究にてデータを蓄積中である。計画では縦断研究の成果を発表する段階であるが,得られた症例数が少ないことからそこには至っていない。症例数が蓄積されにくい原因は,発症から短期間で転院および退院することや,発症から車いす駆動能力獲得に至るまでの経過を追跡可能な症例が少ないことである。少例ずつではあるが,データの蓄積を行えていることから継続して症例数を蓄積していく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,蓄積中である前向きコホート研究のデータを分析し公表したい。その際,これまでの研究で絞り込んだ車いす駆動能力に影響を及ぼす要因が改善することで,車いす駆動能力を獲得できるのか注目したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査の旅費及び研究成果の公表のための学会旅費に用いる。また,研究結果を公開するにあたり雑誌等への掲載料に用いる予定である。
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Research Products
(5 results)