2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中患者における舌の機能訓練効果の検討~舌の筋力と運動性の定量的評価~
Project/Area Number |
24700552
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
柳田 早織 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (20548581)
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Keywords | 急性期脳卒中例 / 嚥下障害 / 構音障害 / リハビリテーション / 舌 / 運動性 / 運動の再学習 / 舌圧 |
Research Abstract |
臨床現場では脳卒中後の発語・嚥下障害患者に対し、舌運動性に関する定量的評価法の確立が求められていたが、本研究を通じて舌の運動性低下を「舌圧」として定量的に評価し、経時的な測定値を得ることで、リハビリテーションの効果を客観的に判定しうる可能性を示せたことは意義があったと考える。 最終年度の検討項目であった「集中的な機能訓練の有効性」については、6例の被験者から介入前後での経時的な測定値が得られたが、そのうち2例は集中的訓練期間中にリハビリテーション介入の主要目的が、言語療法から理学療法や作業療法へ変更となり、規定通りの訓練プログラムを忠実に実施できなかった。 既定の訓練プログラムを実施できた4例については、初回評価時から発語や嚥下を円滑に行うために十分な最大舌圧値(kPa)を有していたものが2例、最大舌圧値(kPa)自体が低下していたものが2例であったが、いずれの場合も通常健常者では見られない舌圧パターンの異常(圧発現順序が異常で前方から順に接触しない、ピーク・オフセットが非同期的である、多峰性のある波形を示す)が集中的な機能訓練後にも認められ、必ずしも舌の筋力と運動性(範囲・速度・正確さ・円滑さ)を標的とする訓練プログラムの実施による舌の機能回復は得られなかった。また、本研究の被験者はいずれも初回評価時から発話が明瞭であり、集中的訓練による発話明瞭度など実用面での改善は認められなかった。 症例の確保は40例を予定していたが、同意撤回の申し出(1例)や、体調不良による再評価困難(1例)もあり、大幅に見込みを下回った。この背景には、脳神経外科領域急性期病院での在院日数が近年短縮傾向にあり、再評価の期間を待たずに転院が決まる場合や、脳卒中を患ったものの発語や嚥下機能に関連する舌の麻痺がなく、言語療法の適応がないとの理由で連携病院側の判断で対象者から除外された例が多数存在した。
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